つづり方兄妹

10日、朝7時に電話。昨日もあったが、『つづり方兄妹』の野上丹治さんが上京し、ぜひぼくに会いたいという。くわしくは『古本生活読本』を読んでもらうしかないが、ぼくは『つづり方兄妹』のことを、かつて産経新聞に書いた。その野上さんから新聞社を通して連絡があったのはもう2年ほど前か。
昼飯をご一緒することになり、野上さんが宿をとった目黒へ向う。少し早く出て、高円寺「杉並書友会」へ。8冊を買う。会場で、もと「ちょうちょぼっこ」の福島さん、オヨヨさん、海月さんと会う。1973年の8月に出た「アンアン」なんて買ってしまう。まあ、いちおう資料として。
野上さんは、今朝6時に東京へ着き(深夜バスか?)、ぼくが着く12時までずっと待っていたという。それは悪かった。駅ビルのレストランで食事しながらあれこれ話す。野上さん、外国生活が長く、そこで瀕死の事故にあい、波瀾の半生を送られたようだ。言葉がうまく出てこないらしく、同じ単語、少ない構文を繰り返す。伝わってくるのは、ぼくが「つづり方兄弟」について書いたことへのありあまるほどの深い感謝だ。文章を書いて、これほど深い感謝を受けたことがない。文章を書いてきてよかった。
夜、家族で「くら寿司」。家族連れでいっぱい。15分ほど待つ。砂川、立川栄と食後の「ブ」散歩。金井美恵子『柔らかい土をふんで、』、桂米丸『笑いの引き出し』(これはサイン入りだった)を105円、杉本秀太郎『半日半夜』を700円で買う。
「アンアン」所収の倉橋由美子の読書案内を読んで、井上光晴『あの子たちの眠った日』潮出版が読みたくなる。金井美恵子『目白雑録2』読了。金井姉妹の日常を読んで、「毒薬と老嬢」をどうしても思い浮かべる。
北海道新聞から書評用にM・Z・リューイン『カッティングルース(上下)』が送られてくる。ふつうならぼくのところには来ないタイプの本だが、それでも送れてきたのは、畑違いのぼくが書くことに何かを期待しているということだと思い引き受ける。今週は毎日締めきりあり。なんとかなるだろうし、なんとかするしかないが、手に汗握る日々が始まる。
サンデー毎日で、内澤旬子さんに著者インタビューすることになった。これは楽しみ。
火星の庭」で7月8・9日と行われる「一箱古本市 仙台」に参加することになる。