外市から、うらたじゅんさん個展

忘れたい忘れないあなたの笑顔
思い出に目をふせて
夏から秋への不思議な旅です
(「風立ちぬ松本隆


往来座外市」へ。11時すぎに行ったらすでに一杯ひとが。外市も定着してきた証拠なり。ぼくは、島村利正『清流譜』(中央公論社)500円を買えたのがよかった。ほか、『ぼく、せんだみつおです』、『京都の市で遊ぼう』(海月さん、ふちがみさん登場)など。ハルミン堂から単行本束見本を。これはうらたじゅんさんにお土産。
会場でたくさんの人に挨拶したが、書肆紅屋さんに池袋に、新しい古本屋ができたとちらしを渡される。「ブック・バンク・クラブ」といって、本が写ってなかったら、高級なバーがオープンしたかと思われる。さっそく行ってみる。西口からアゼリア通りを徒歩5分くらいか。八勝堂のそのまた先左手。いきなりユニフォームを着た若い店員が呼びこみをしている。「何、本屋。新刊の?」と聞いてるおばさんがいたが、外観はゴージャスで古本屋に見えない。店内もなんというか、新刊書店仕様。店員はみんなユニフォームを着て、特製の包装紙を用意している。
しかし、だ。本はまるっきり魅力なし。単行本は「ブ」で軽々と105円で買えるような本にきっちり値をつけているし、文庫もちくま、中公、福武なんてところは少ない。わざわざ足を伸ばして行く魅力は、少なくともぼくはまったく感じられなかった。なにか、まちがっているのではないか。古本屋というものの捉え方を。「行きつけの『本屋』で過ごす人生の休み時間。非日常を愉しめる大人のための『古本屋』」というのだが、どこが?
まあ、そんな泥まみれの古本者をはなから相手にせず、すてきな空間で、しかも買いやすい本を、定価より安く、気持ちよく買いたいという客には文句なし、だ。ぼくも商売の邪魔をする気はない。ただ、2度と行かない、というだけだ。
かえって、ひさしぶりに八勝堂の店頭均一で、色川武大『虫けら太平記』(文藝春秋)帯つき初版を200円で買えたのがうれしかった。
有楽町線半蔵門線とのりつぎ表参道へ。骨董通りをちょいと入った路地に、うらたじゅんさんが個展を開いている「ビリケンギャラリー」がある。ブリキのおもちゃや、古い昭和の玩具を展示。おもしろい店。うらたさんに挨拶、水彩画を見せてもらう。きれいな色づかい、少年少女の追憶、風の匂い、うらたさんの絵には詩がある。
うらたさんとあれこれ喋る。どうしても『つづり方兄妹』の話になるのだが。ちょうど会場にきていた、うらたさんの友人諸氏が、枚方四中の出身。ぼくも一年だけ通ったのだ。香里団地のはなしなど。所持金がなく、うらたさんの絵を買えなかったが、帰宅して妻に、今度、個展へ行って、一枚、好きなのかってきて、と頼む。