バー&本棚「図書館」で飲む

今夜、新幹線で京都から戻る。16日は、中日栄センターで、名古屋「古本極楽道場」第一回。受付に、向井くんの日誌にも出てきたAさんがいて、声をかける。同講座は月1回で全6回の長丁場。9人が参加して、そのうち6人が女性。みなさん、ぼくの本を読んでくださっているようなので、ひと安心。なんとか6回続けられそう。この講座中、毎回、出席者に古本を買ってきてもらい、それを発表。ぼくを驚かせたら、岡崎武志のうちの一字を授け、弟子とすると宣言。まあ、洒落ですがね。ちなみに弟子第一号の角田光代さんには、武の一字を与え、角田武光と名づけた。
講座が終り、Aさんともう一人、出席者の女性と三人で、はじめて名古屋古書会館へ。ここで即売会が行われているのだ。一階ガレージっぽいスペースは1冊100円と、3冊100円の文庫コーナー。ちょっと五反田っぽい。最初、ここだけかと思ってがっかりしたが、2階が本会場ときき、1階で買った2店を精算したら、2点100円におまけしてもらった。買ったのはエアフランスの機内食メニューと、クセジュ文庫『ポスター』。あとで、中日栄センターの古書通、佐藤さんとローマくんがくる。2階では、永井龍男全集の第1巻が1000円、中河与一『愛恋無限』第一書房500円(挿絵が岩田専太郎)、1960年明星の歌本が300円。
新幹線で京都移動。夜、弟の店「ディランセカンド」で弟まじえ、山本善行と飲み、関西の笑芸談義。桂米朝「味の招待席」がいかにすごかったかを語る。このあと、前から気になっていた、京都の本棚&バー「図書館」へ3人連れ立って向う。ここのママ(といっても若い)が、弟の店の客でもあるらしい。四条木屋町をまだ高瀬川に沿って下り、路地をくねくねなお進むと、こんな場所に、というところに「図書館」がある。入ると、狭い一室にU字カウンターのみの店で、周りに本棚があって、文庫を中心に、グリーン版の世界文学全集など並ぶ。先に、20代の若い男性客がいて、しばらくすると、そのうちの一人、ハンチングをかぶった男の子が、ぼくに「あのう、ひょっとして『ミーツ』に出ていた方ですか?」と聞く。驚き。それから、あれこれ本を話を。もう一人の男の子は、なんと荻窪在住の院生で、仏教が専門だという。なんでもよく知っている。「古本酒場コクテイル」を地図を書いて推薦しておく。
このあと、弟とは別れ、山本と20年以上ぶりにジャズ喫茶「ろくでなし」を訪問。ちょうどマスターがいて(髪の毛が真っ白になっていた)、しきりに「懐かしいです」と話す。本当に、昔のまま。ここで山本とジャズを聞きに訪れたとき、偶然、高校時代の共通の友人が、たまたまカウンターに入っていて再会を果たした、なんてこともあった。マスター、かなり酔っていて、山本とぼく、高校の同級生だと何度も言っているのに、山本が50歳で、ぼくは35歳ぐらいと15歳差だと勘違いして喋る。これは、山本がくさる。「なんで俺が50で、岡崎が35やねん」と。「文藝」のプロフィールにも1967年生まれと書かかれたしな。
翌日は、山本とおなじみ、京都古本屋巡り。最初は「文庫堂」。大学の先輩にもなる、店主に「ミーツ」取材のお礼を言う。全集パンフなど4点を買う。寺町から京極へ、路地を入り、ついに「俵屋」で使われている石鹸を買う。これがおみやげ。ああ、もう書く力が尽きた。おしまい。