okatake2014-04-03

京都への帰省が挟まって、「サン毎」10本書評の本読みの時間が足らず、あくせくと読み、今朝、早起きし、ようやく原稿を送付。紅茶を煎れてひと息。『茨木のり子の家』をパラパラ見て、心慰む。これは日々の箸休めのように、よく開いた。「ブ」で、仕入れで買って、少し上乗せして一箱か上々堂で売っぱらうつもりであったが、手放せない本になってしまった(写真)。
茨木のり子が住んだ家はいまも現存(のはず)。場所も特定できている。家屋の周囲に余裕をたっぷり取った敷地は、半世紀前だから、買えたのだと思う。まだ田畑や雑木林があちこちに残る郊外であったはず。竣工は1958年、というからぼくとほぼ同い年の家。この家に若い日からよく通った甥の宮崎治は、あとがき「伯母と過した週末」で、「もし伯母夫婦に子供がいたらこの家は間違いなく建て替えられていただろう」と書く。敷地に余裕があるから、二世帯住宅として、もっと効率のいい建物に生まれ変わっていただろう。
京都で買った本ほかが宅急便で昨日届く。どれどれ、どんな本を買ったんだっけ、と開けるのが楽しみ。「井上書店」で1000円で買った『アンデルセン童話集』は昭和4年近代社刊。奥付に「非売品」とあるが、世界童話全集を全巻予約した人に無料配布された特別本ではないか。函もカバーもないが、600ページ強の立派な本だ。「尚学堂」の店頭200円均一も楽しく、3点購う。
午後、突き動かされるような思いで、雨の激しいなか、東伏見茨木のり子の家を見にいく。古い『現代詩手帖年鑑』の住所であたりをつけていたので、迷わず、家の前まで行けた。途中、『茨木のり子の家』に出てくる、茨木のり子が歩く、カーブした道も偶然出くわして、写真を撮る。誰かが住んでいる気配はなかったが、実物が見れて、まんぞくまんぞく。庭にでかい実をつけた蜜柑の木。一つ、道ばたに実が落ちていたので、こっそりもらって帰る。「SECOM」していたら、怪しい男の姿が映っているはずで、警備員が駆けつけないかと、急ぎ足で駅まで。東伏見駅前には、喫茶店もなにもなかった。カバンにごろりと大きな球形が忍び込んでいる。
「わたくしも/一人の男と結婚したとき/ふるさとの蜜柑の木を一本持参/関東では根づくかしらとあやぶんでいると/七年目にかわいい実をつけたのだった」(
「みかんの木」)の「蜜柑の木」だろうか。