『昭和三十年代の匂い』ちくま文庫新刊

okatake2013-04-26

ちくま文庫の新刊、『昭和三十年代の匂い』見本が届く。これは、学研新書から出た同タイトル本に、新たに一章を書き下ろし、岡田斗司夫さんとの対談を巻末に増補したもの。ページ数で言うと、100ページくらい、新書版より増えている。カバーデザインは初めて組む倉地亜紀子さん。いい仕上がりのカバーになった。感慨深く、あちこち読みふける。これは著者の特権なり。自画自賛とわかっているが、岡田斗司夫さんとの対談がおもしろい。これは岡田さんのクレバーさと、記憶力のおかげ。ぼくはほとんどボンクラだ。
元本の執筆から、もう5年ぐらいたっており、書いたものが、客観的に読める。書くことで、自分のなかにあるものが引っ張り出されるというのは、よくあることで、そうか、そういうこと言えるよなあ、と自分で書きながら、感心した個所もある。馬鹿みたいだけど。
少年マンガにおける原っぱと土管の考察など、けっこういい線いってる気がする。かなりユニークで、面白い本に仕上っているのではないか。自画自賛だけど。
新たに書き加えたのは「おじさまの匂い」という章。ここで、初めて大人について言及している。昭和三十年代の子どもが見た大人、ということだ。
「あとがき」で、「ちくま文庫に入れていただくのは、これで五冊目」と書いたが、背表紙のナンバーを見ると「6」。「六冊目」の誤りだ。そんなに出してもらっているのかと驚いた。ただし、旧著で現在流通しているのは『女子の古本屋』のみ。これもいずれ品切になるか。元本と同じく、ぼくの子ども時代のプライベイトな恥ずかしい写真がたくさん図版で使われています。姉といっしょに映っている写真ばかりなのは、写真が貴重だったことと、姉と仲がよかったからだ。
本屋に並び始めるのは連休明けぐらいから、でしょうか。同じ「今月の新刊」ラインナップには、グレゴリ青山さん、四方田犬彦さん、森まゆみさんなども並ぶ。うれしい顔ぶれだ。
ひとり、深夜、お酒を飲みながら祝う。こういううれしさを味わえるだけで、物書きになってよかった。ほんと、そう思う。売れてくれれば、もっといいが、多くは望めない。