okatake2012-04-24

詩集の次は文学史。夏葉社の新刊は、なんと伊藤整『近代日本の文学史』だ。400ページ強、シンプルな水色表紙にビニールカバー。帯に「必携」とある。伊藤整の畢生の大作『日本文壇史』全18巻のエッセンスを抽出し、巻末エッセイの荒川洋治さんによれば、「要約でありながら、新たな表現」が使われているという。大学のテキストなどで採用され、多くの若者の手にわたってほしい。
必要があって、相当前にビデオ録画しておいた島耕二「末は博士か大臣か」を見る。菊池寛の半自叙伝をもとに映画化したもので、フランキー堺菊池寛にそっくり。芥川は仲谷昇。その流れで、これもビデオで、中川信夫虞美人草」。昭和16年東宝。甲野を高田稔、藤尾を霧立のぼる、宗近を江川宇礼雄、糸子を花柳小菊といった面々。これがよくできていて、あのやっかいな恋愛劇を、コンパクトに、しかも主題をはずさず映像化している。「三四郎」も中川が監督だが、おそらく「虞美人草」がよく撮れていたからの抜擢だろう。宗近の江川宇礼雄がいい。