そうか、倉橋由美子夢の浮橋』は、三月から始まり二年後の三月へ続く、季節の円環していく物語だったのか。この一作を遺しただけでも、倉橋の名前は残ると思います。買ったのは何冊目かの単行本での表記は旧字旧かなで、ぼくはあんまりこだわらないほうですが、この危険な恋愛小説は、こっちのほうが似合います。隠れ「京都へ行きたくなる小説」かもしれない。一度、ちゃんとメモを取って読んで、何か書きたいと思う。装幀もいい。題字は白井晟一だが、装丁者のクレジットはなし。毎日、机の脇において、ちょっと撫でてコトバの力をもらってから仕事にかかっています。本って、そういう力があるでしょう。ここ太字。
先日、「朝日」夕刊の音楽欄で、ひいきの記者、近藤康太郎さんが大月みやこ、森山良子、渡辺貞夫と三人のインタビューおよび紹介記事を書いていた。この三人を一人の記者が書くというのがすごい。音楽への理解が深くて、いずれも読み応えのある記事になっていました。
部屋のどこかに探せばある山口昌男『「敗者」の精神史』を図書館で借りてきたのは、ここに吉野作造と花園歌子についての文章が入っているから。このなかに出てくる、仙台の古書商の回想録『本喰ひ蟲五拾年』が読みたくて検索したら8000円で一点ヒットした。むむむ、である。限定版だから。あ、復刻版が3200円で出ていますね。
自転車のブレーキのきしみを調整してもらうため、自転車へ、待ってるあいだに「いとう」へ。谷沢永一『運を引き寄せる十の心得』(ベスト新書)を見つけ、買う。これ、晩年に乱造した変なタイトルの本の一冊ですが、谷沢の自伝でもある。栗坪良樹の夫人が新潮社の社員、なんてことも書いてある。
小林信彦『流される』を読む。