12月23日「銀盛会館」古本市のため、売るための本をどんどん作っているが、まだどうしても迷いがある。いかんなあ。新潮社のセミハードカバーの新書サイズの吉田健一『随筆 酒に呑まれた頭』なんて、文庫版も持っているから、200円とかつけて放出してもいいのだが、この装幀、サイズ、正字旧かなの本文組みなど、愛着がある。まあ、持っておこう。
先月と今月、棚を借りて古本を売っている「上々堂」の岡崎棚の売上げが思わしくなく、ここいらが潮時かと、店主のイシマルくんに「今月、20日いっぱいで、棚を閉じる」ことを告げる。長い事、どんどん棚が増殖しても、何も言わず、黙って好き勝手やらせてもらったイシマルくんには感謝している。売れないと、補充がきかず、どんどん、ぼくの作る棚の魅力がなくなっていることにも原因がある。補充の本をぶらさげ、駅から上々堂まで歩いて往復、というのも、だんだんキツくなってきた、ということもある。ときどき「上々堂の岡崎棚で買わせてもらいました」と、人に言われることもあり、ありがたいことであった。10年はやったろうか。店内で加藤千晶さんのトーク&ライブの相手を務めたこともあった。いま、上々堂では、絵本イベントとの連動や、紙芝居など、定期的にやっているようだ。引き続き、ごひいきいただきたい。
飯島耕一詩集『ゴヤファーストネームは』をひさびさに読む。「夢がほしい/などとおろかなことを言うな。/夢から逃れることに/日夜 辛苦している心が/いくつもあるのだから。」「何にも興味をもたなかったきみが/ある日/ゴヤのファースト・ネームが知りたくて/隣の部屋まで駈けていた。」「生きるとは/ゴヤのファースト・ネームを/知りたいと思うことだ。」苦い省察と生きる喜び。