「中川フォーク・ジャンボリー」22のゲストは、シンガーソングライターにして、マルチプレイヤー佐久間順平さんです。これは楽しみ! BSのフォーク番組などで、必ずといっていいほど、いろんなアーティストのサポートとしてバッキングしているのが佐久間さん。「1953年(昭和28年)9月30日神奈川県逗子市うまれ
早稲田大学卒業後、高田渡氏等と、『昼トップ・ストリングスバンド』結成。フォーライフ・レコードより「バーボンストリートブルース」リリース。ソロシンガーとして活動する中、高田渡なぎら健壱友部正人中川五郎森田童子、等のレコーディング、ステージを共にする」(及川恒平さんのHPをお借りした)。ギターはもちろん、バイオリン、マンドリンバンジョーと、弾ける楽器の幅がすごいですね。当日、どんなステージになるか、五郎さんとどういうからみを見せて下さるか、そしてオリジナル曲の披露も。
11月1日(木)と「1」並びの日、平日ですが、夜に国立「ビブリオ」で開催されます。詳細は、http://d.hatena.ne.jp/banka-an/20180915へアクセス下さい。
涼しくなって、長くなった夜をしみじみとベッドであれこれ読書。島尾伸三『小岩へ』は、著者が幼い頃、島尾敏雄・ミホを両親に、短い期間だが小岩に住んでいた、その記憶を断片でたどる。子を省みず、夫の不実で責め合う修羅に、幼い兄妹は生きた。記述から、小岩駅南側のわりと駅に近い場所に住んでいたようだ。今度、意識して歩いてみたい。
小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』は、平成6年の新潮文庫復刊シリーズの一冊。旧かな正字。少女が営む三鷹の古本屋を描く「落穂拾ひ」は、何度読んでもいい。「わたしはわがままだからお勤めには向かないわ」と、独力で古本屋を営む優しい娘。この古本屋の均一を漁り、おしゃべりをして、憩う「僕」。作品の一節にある「その人のためになにかの役に立つということを抜きにして、僕達がお互いに必要とし合う間柄になれたら、どんなにいいことだろう」を手帳に書き写す(引用は新字新かなに改めた)。「人には誰でも、人から忘れられてしまったような、ひそかに生きねばならぬ時間というものがある。そういうときこの作品集は慰めとなるであろう」と、亀井勝一郎(名解説)。亀井は、小山夫妻の仲人でもあった。
上原隆さんの紹介で贈っていただいた、茂本和宏さんの新詩集『いわゆる象は縁側にはいない』(思潮社)は、いい詩集。「遠くから来ました/その人は 涼しい足裏を見せて/国境を越えた/外つ国の柔らかな眼差し/その入り口に立って/私たちは初めて息をする」(「足裏」)、「もうそろそろ/あの角に近くなるから/父よ/人生のように/あなたの背中を曲がる」(「うつむく電車」)と、言葉遣いが正確で、イメージがきれい。他者への働きかけが、逃げないで円還して、自分の方へ帰っていく感じとか、詩を読み慣れていない人にも届く作品群だ。外出する時、カバンの中に入れて持ち歩きたい。秋に似合うはずだ。