書評用の村田喜代子『火環』読了。あいかわらず、いろいろ読んでいる。荻原魚雷編/梅崎春生『怠惰の美徳』に続き、中公文庫新刊で、こちらは解説魚雷くんで古山高麗雄『編集者冥利の生活』が出ている。「編」ではないが、解説を読むと、魚雷くんの意見がセレクトに反映されているのは明らか。いずれも文庫オリジナルで、魚雷くんがスプリングボードにならなければ、文庫化は叶わない人選とセレクトだ。的を絞って、魚雷くんが、ここぞと目がけて長年、懐に温めて読んできた作家たち。ううん、と唸る目覚ましい仕事ぶりだ。古書界に及ぼす影響も大だと思う。こんなこと言うと、当人は嫌がるだろうけど、貫禄が出てきた。魚雷くん一人が編集して、ダメ人間文学全集が出来てもおかしくないだろう。大江健三郎小説全集より、いま出すべきはそっちだろう。
野口冨士男文庫が、越谷市立図書館内にあると知る。涼しくなったら行きたい。前に越谷へ行ったのは、あれは何の用事だったか(取材だろうな)。夕暮れ時、駅前の街路樹に、ヒッチコック「鳥」のように、鳥が群がっていたのを覚えている。
この一カ月ぐらい、吉田拓郎「ラジオでナイト」を聞いてない。なぜだろう。そうかゴンチチも聞いてない。どうしたか。酒ばかり飲んで、本ばかり読んでいる自滅的生活。
サンドイッチマンと千鳥が、人ん家の風呂へ入るというムチャな番組がNHKであって、湯河原へ行って、五月みどり邸を訪ねるのだが、これが白亜の豪邸で、人気歌手って、そんなに稼げるものかと驚いたが、風呂へ入る(温泉を宅配で入れている)段で、小さい頃から、五月みどりが洗面所で髪を洗う習慣があると告白して、それが妙に印象に残った。子供のころ、親(精肉店)が、芝居好きで自力で芝居小屋を作り、五月も5歳ぐらいから舞台に立っていた。親も忙しく、一緒にお風呂へ入って体や髪を洗ってもらうことがなく、自分で、そそくさと洗面所で髪を洗った。それが習慣になったという。短編小説が書けそうなネタであった。