台風一過の昨日、西荻から。盛林堂補充、音羽館へ寄って、ひさしぶりに広瀬くんと喫茶店で情報交換。ラピュタの招待券2枚もらう。これは行こう。均一でドアノー展の図版300円と、どうしても今読みたくなって、元本もちくま文庫も持っているのに種村季弘『雨の日はソファで散歩』を。読書中のアン・タイラー『パッチワーク・プラネット』をお休みさせて、電車内で種村をガシガシと読む。
亀戸へ移動。「四月と十月」連載「彫刻」の締め切りが来て、亀戸駅前の羽の生えた亀、大中小が積み重なった噴水を取り上げることにして写真に撮る。亀戸天神へも行ったが、ここは像や婢がいたるところにあるモニュメントのテーマパークみたいな神社。スカイツリーが背後にでっかく見える。亀戸は神社仏閣が多く、じつは銅像だらけの町だった。
夜は、脳天、サンポ堂、金丸姐さんと亀戸の文化センターホールで、柳家権太楼独演会を聞く。脳天、金丸両氏の還暦祝いも兼ねている。じつは、柳家権太楼はちょっと苦手な噺家さんであったが(でかい声を出しゃあいいってもんじゃない)、この夜の「唐茄子屋政談」は一時間近くたっぷり熱演して、ああ、こういう話だったかと感心する。志ん朝さんなんかもそうだが、たいてい途中で端折るのだ。仲入り後、「前にたっぷりやりすぎた」と言いつつ、天狗裁きで締める。4人で亀戸ガード脇路地の飲み屋横丁へ。散歩堂さんが何度か来たという古典的大衆居酒屋で2時間近く飲み食う。ここはいい店でした。出てくる料理が、なんというかみんなキレイ。味も見せ方もがさつなところがない(天ぷらの衣がちょっと硬いのが難点)。それでいて値段は大衆的。ずっと落語の話をしていたが、いちばんくわしくないのはぼくだった。いや、ぼくだってそこそこ落語の知識はあるつもりだが、ほかの三人にはまったくかなわない。この夜、浴衣姿で艶やかな金丸姐さんは、昼は浅草演芸ホールにいたという。演芸のダブルヘッダーだ。途切れなくあれこれ話して、満席に近い店が、気づくと、我々だけになっていた。帰り道は遠かった。