あ、もう8月ですか、そうですか。なにもせぬまま(まったくやる気が起きず)、ボーッと病人のごとく生きてる間に締め切りが立て込んできた。自業自得である。先日、NHKで吉岡秀隆金田一に扮したドラマ「悪魔が来りて笛を吹く」を見て、原作に手を出して5分の4は読んだか。さいしょ、「ブ」を数軒探して、108円棚に横溝が払底していることに気づく。何があったのか。あきらめて、自宅書庫の本の山をのりこえて、文庫棚を散策していると、なんだ10冊近く、横溝が並び、『悪魔』もちゃんとある。こういうこと、よくあるな。昭和22年東京、斜陽貴族の椿子爵邸1200坪は六本木の交差点から霞町の方へ下る右側にある。現在で言えば、六本木交差点から六本木通りを西へ下り、西麻布交差点の手前北側、ガーナ大使館がある辺りになるか。すぐ北に宏大な青山墓地がある。地図を見ると、いかにこの墓地が広いかがわかる。「霞町」の名は西麻布に変わったが、霞町陸橋、霞坂に残っている。近隣する旧龍土町は、明智小五郎事務所がある町ではなかったか。
南陀楼綾繁『蒐める人』(皓星社)を読んでいて、思い出すこと、感じるところ多し。ナンダロウくん、一級のインタビュアーである。準備は洩れなく、テーマに沿って、じつに相手から話を上手く聞き出している。読んでいて頭に入りやすい。書籍化で追加取材された日月堂佐藤さんの「このところ、妙に本が持ち上げられている気がするんですね」から始まる発言に深くうなずく。同感である。串間努インタビューも面白い。かつて串間さんが借りていた「岩本町の事務所」の話で、そういえば、私も、ここ行ってるわと思い出す。広いワンフロアに、汗牛充棟、本や資料が並べられていた。古書即売会の存在を知り、世の中に、こんな凄い、楽しいところがあるのかと語っておられた。河内紀さんの「江口書店」での、本を買いに来た少女のエピソードに感動する。蒐めずして文化生まれた試しなし。9月9日、西荻ブックマークが、この『蒐める人』。ナンダロウくん、ぼく、魚雷くんと「sumus」東京組が集まってあれこれ喋る予定であります。京都組は終了済み。さあ、仕事するか。