28℃でぴたりと止っていた地下の温度計が、ついに29℃を指す。いままた28℃に。どんだけ〜! 失礼しました。昨日は、盛林堂に書評で使った本を大量補充したあと、「すぎ丸」に乗って五日市街道を越え某所へ。知合いの家(邸宅なり)で、ほんとうに久々に「栞会」。このメンバーだった女性二人が、ケッコンして東京を離れることになり、そのお祝いとお別れ会。夜に西荻で別件の飲み会があるので、食卓を飾った多種のたべものに手をつけず、注がれるままにビールを飲み干していたが、これがいけなかったのか。夜、西荻で古ツアさんと待ち合わせ、某企画の打ち合わせをしたが、もう米粒一つ分の酒も食べ物も喉を通らない。赤ランプが点灯していることがはっきりわかり、盛林堂小野くんが合流したところでリタイアする。暑さのせいもあるか。9時半にはベッドへもぐりこむ。深夜眼ざめ、枕元にあったトマス・H・クック『キャサリン・カーの終わりなき旅』を読み始めたら、ガツンと引きがあって、そのまま3分の1ぐらいを読み終える。これはいいぞ。主人公は幼い子どもを誘拐惨殺され失って、慟哭の日々にあるフリーの記者。記事は評判がいい。同僚の、腕が落ちる記者は、編集長に「なにかが足りない」と思われている。「私」には彼に「なにが足りない」かわかっている。
「血の通ったストーリーだ。筆致ににじみでる生真面目さ、言いまわしに表われる真剣味、そういう読者を引きつけるものすべてが欠けている」
ぼくが書評を書くとき、心がけて、目指しているのもそういうことだ。