今月号「東京人」の太宰特集に、太宰と東京についての長い評論を書いたが、その連動企画として、「東京新聞」に同誌執筆者が太宰のコラムを書いている。ぼくも600字のコラムを書く。近々に掲載されるはず。ずいぶん熱心に太宰としばらくつき合ったので、しばらくは、もういい、という感じである。
昨日はサン毎原稿を送り、市で実施している無料の定期健康検診へ。時間がかかることを覚悟したが、少し早めに行って、待ち時間も少なく、検診自体も1時間ぐらいで終わった。採血の担当が鶴のような白髪痩身の老女で、はなはだ愛想はないが、注射は上手い。ぼくは血管が出にくいので、下手な人にかかると、何度か針を刺し直し、しかも刺してからなおグリグリと血管を探すなんてこともあり、気絶しそうになる。愛想はいらない。注射は上手い方がいい。
この日、年に一度の「アカハタ」試写室執筆者の懇談会があり、謝礼は何十円単位のきっちりした交通費しか出ないし、開始時間には間に合わないし(残り3,40分しかいられない)、パスしてもよかったが、電話したら、「ぜひ、来て下さい」というので行く。新しい執筆者もあって、終わってから、いつものように有志6名で代々木の居酒屋で少し飲む。漫画評論の石子順さんの家に、むかしこそ泥が入り、大事な漫画と、漫画家たちのデザインした記念時計がごっそり盗まれたという話が面白い。「ぼくがこそ泥なら、盗むようなものばかりですね」と言うと、「そうなんだよ、漫画のこと、よくわかっている奴なんだよ」と。
解散して、その足で帰還し、久々、牧野伊三夫さん邸へお呼ばれ。福音館の編集者二人が来ていて、来年、牧野さんが手がける「たくさんのふしぎ」の打ち合わせをしていたらしい。牧野邸の、いつもながらの手の込んだフルコース(手製のデザートまで)を堪能しながら、飲む飲む、食う食う。5時間ぐらいいただろうか。長い一日となった。
「大人の休日」倶楽部の東日本フリーのきっぷ(1万5000円)を買う。4日連続、というのを使い切れないこともあるが、どこか東北方面へ一回新幹線で往復すれば、それで元を取るようなお得なきっぷである。会津の「勉強堂」さんへ行こうか、などと考える。10年以上も前、ここで小山清『犬の生活』を安く買ったことを原稿に書き、それを読んだ人に今だに言われることがある。支線に乗り換えて、ぶらり途中下車、なんてのもいいかも知れない。古本屋さんは、どこかで一軒行ければいい。