本日晴天。午前から動きだし、西荻「盛林堂」岡崎棚に大量補充。あかね書房の児童絵本『にんじん物語』を買う。音羽館へ寄ったら、そうか、今日は定休日だ。サン毎で本えらび。同じフロアに北條くんがいて、少し言葉を交す。宮里くんもいるし、毎日の出版部に知り合いが増えてうれしい。この日、夕方から「新潮講座」で6月2日に開く、幸田文『流れる』読書会+柳橋散策の下見を、担当のMさんと待ち合わせて敢行。講座の受講者、定着率が高く、次回も20名を超える勢いだという。あんまり人数が増えると、読書会と町歩きがしにくくなる、とはぜいたくな悩み。「新潮講座」は、ぼくがくつろいで、安心して喋れる場になってきた。あれこれアイデアも浮かぶ。
サン毎九段下から馬喰横山へ都営新宿線で移動。ここから浅草橋までは歩く。途中、前から目をつけていた東神田の一橋高校脇にある立ち食い「そば千」へ立ち寄る。夕方、また飲み食いするので、かけそばを頼んだら「天ぷらはいいですか?」と店の人に念を押される。天ぷらが「売り」の店なんだ。柔らか麺に、重油系の真黒汁。うーむ。これは好みの問題で、ぼくの舌など幼稚でまったくアテにならぬが、ちょっとぼくには……。同じ真黒汁で言うなら、目黒駅前「田舎そば」の方が好み。
浅草橋に早く着いて、少し周囲を散策。文具、梱包のデパート「シモジマ」へも初めて入った。Mさんと合流、柳橋一丁目付近を路地歩きし、緑の鉄橋「柳橋」でたたずむ。水辺を見ると心が落ちつくのはなぜだろう。神田川隅田川の合流するところを眺めて、この流れのぶつかり合いで、初めて落語「船徳」で、素人の徳さんが、神田川沿いの船宿から猪牙舟をまず棹で送り出し、隅田川と合流する際に苦労する、その苦労がよく分った。両国橋を歩いて渡り、大相撲開催中の両国国技館を見て、両国駅構内に新しくできた飲食+雑貨の「江戸NOREN」をざっと見る。このあと、Mさんと、ギャラリー「緑壱」で岡崎武志挿絵展を開いていた時、何度か来た居酒屋で、飲み、語る。「緑壱」のオーナーご夫婦、お元気だろうか。あれこれ語り、楽しい一夜だった。Mさんが編集を離れ、「新潮講座」へ移動した事情なども聞く。しかし、それで、ぼくはこうして親しくなり、仕事もご一緒できたのだ。その運命のすり合わせを、ありがたく思う。ずっと幸田文と『流れる』の勉強が続く。時間を要するが、これがまた、どこかで生きてくるのだからとせっせと励む。勉強が好きとは、自分でこの年になるまで気づかなかった。