某所でシングル盤を聴く会を開き、「赤旗」で対談「昭和歌謡」の連載を持つようになり、唄もの、歌謡曲関連の書籍をなるべく買うようにしているが、先日、西部ブック&Aで買った矢沢寛『流行歌気まぐれ50年史』を読んで、それはないだろう、と思う。フォーク台頭の章で、吉田拓郎を取り上げ「彼は元来、ポップス歌手でフォークソングを巧みに利用したにすぎなかった」、「『結婚しようよ』は完全なポップスで『旅の宿』は歌謡曲」、フォーク歌手が金儲けのために歌ってはならないと戒めたウディ・ガスリーに比して、日本では「いまや金になるフォーク歌手を志望する若者が、吉田に続けと続々生まれる最悪の状態になった」というのだ。この教条主義的な決めつけに唖然となる。そういう面がレコード業界にまったくなかったわけではないが、「フォーク」とは、なんとメンドウな言葉であろうか。