森まゆみ『「五足の靴」をゆく』平凡社を、メモを取りながら読む。五名(だから五足)の文学者、画家が九州へ旅をする。明治の青春を追いかけて、著者も足跡をたどる。あいかわらず、ていねいな仕事。出版の景気がいい時代なら、著作集が出てもおかしくない。
午後、玉川上水を一時間ほどさんぽ。汗ばむ季節になってきた。花が風に流れ、どんどん散る。蝶がとぶ。鳥が頭上で鳴く。もう葉桜が見え、じつは、いちばん桜が美しい時期かもしれない。
BSプレミアム「幻の東京計画」を見る。戦後復興に関わった石川栄耀という人物を知る。先日、「マイ・ラスト・ソング」を六本木で見る前、麻布十番「十番」で、一緒に行くメンバーと待ち合わせ飲んだのだが、早く着いてあたりを散歩しているとき、商店街が途切れたあたりに、道を二つに分けて、真ん中に島みたいに小さな広場が作られているのを見た。パティオ麻布十番、というが、これが石川の都市計画の思想を体現したもの(石川自身は1955年に死去)だった。歌舞伎町は彼の命名。戦後、上野不忍池を埋め立て、野球場を作ろうという計画が出来て、実現しかかったが、反対運動が起き、そこにも石川の名があった。石川が手がけた中学生向け教科書副読本『私達の都市計画の話』という本が紹介されていたが、これ欲しい。非売品だが、相当数配られたはずで、いつなんどき、即売会などでひょっこり出てくるかもしれない。石川は大の落語通でもあった。