週一で、新聞の切り抜き(日々しているが、切り忘れのチェック)をしていて、朝日多摩版の「ぶらりふらり」という街ガイドもので、「大塚」を取り上げていた。かつてここにあった寄席「大塚鈴本」についてくわしく書いてある。地図もある。なんと、いまでも「大塚鈴本ビル」というかたちで、寄席跡があるらしい。大塚へは、夏葉社7周年イベントでライブハウスを借り切った時、ぼく、ナンダロウくん、魚雷くん、ぴっぽさん、宮内悠介という組み合わせでバンドを組み、高円寺、大塚の貸しスタジオへ何度か通った。いま思い出しても、こんなにワクワクした、楽しい体験はなかった。楽器を持ち、電車に乗り、スタジオで音を合わせ演奏する。そのためにエレキギターとアンプのセットを買ったほどだが、それっきり眠っている。不思議なことだが、その「大塚鈴本」の記事を読みながら、ちょうど読んでいた笑芸演芸もののエッセイを集めた『色川武大 阿佐田哲也全集11』に、色川が、中学時代、大塚にいて、大塚鈴本へ行ったことが書いてあった。あれこれ、雑多に読んでいると、しばしばこういうシンクロに遭う。この本のエッセイや、対談に出てくる、名前も知らない戦中戦後の芸人の話がやたらに面白い。抜き出してエピソードだけ、永六輔『芸人その世界』のような本を作りたい。