昨日は午前、町内会の大規模防災訓練。出る気はなかったが、回覧板を受け取る時、役員の方とコトバを交わし、出ざるをえなくなった。出ると、すごい出席率で、200人以上いたのではないか。町内の安否確認を手分けして終え、放水、救護を空地で実地に。子どもを連れ、家族総出という組もたくさんあり、新築ラッシュで子どもの数も増えた。賞味期限間近で、普通は廃棄する防災グッズ(水やアルファ米など)をもらって帰る。
午後は本厚木。市民会館でクレイジー・ケン・バンドのライブがある。「新潮講座」の生徒さんで、ファンクラブに入会している男性Tさんから、チケット取りますから行きませんか、と声をかけられ、その場で、同じ生徒さん女性2名が参加表明、「新潮講座」スピンオフともいうべきライブの日となった。
ぼくは初CKB体験。チケットは即日ソールドアウトになった。驚くべきは、昔からのファンの一体感で、3時間近いステージを9割の客が立ちっぱなしで、全身でケンさんにエールを送り続ける。ぼくは失礼して、何度か座ってしまった。それにしても、ステージングの見事さ、ファンへのあふれるサービス精神、3時間近く歌い続けて乱れぬ野太い声と演奏に感嘆する。大人の男の色っぽさと茶目っ気を、ロマンあふれる歌詞と曲に乗せ、下品でありながらゴージャスなケンさんの歌唱は、まちがいなく超一級だ。「せぷてんばあ」が聴きたかったがこの日はなく、しかし「生きる。」の温かい人生の応援歌にほろりと来る。
興奮を胸に抱きつつ、駅前まで歩き、路地裏の居酒屋で打上げだ。日本酒熱燗がうまい。天ぷら盛り合わせ(1500円)を頼んだら、山盛りが届いた。これはいい店だった。お銚子が次々と空く。「新潮講座」の生徒さんたちとは、本当にいい関係が築けつつあり、ぼくは非常にいいポジションで、楽しい会話が続く。ありがたいことだ。あ、バレンタインのチョコももらいました。なにもかも感謝の夜に、小田急横浜線、相模線、中央線と複雑な乗り継ぎ乗り継ぎで帰宅。冬の夜更けのホームは淋しく、寒い。歩数は6000歩を超える。中央線一本の移動がどれほどラクチンか、わかる。
佐賀古湯温泉に図書室つきの旅館があると知る。http://library-inn.jp/本読みによる選書とコメントというのが少し残念。何となく、棚の選書が見えてしまう。もう少し、大らかで、大ざっぱな集め方で、ゆるめの図書室の方が温泉宿には似合う。しかし、そうしないと、売りにならないから、ぼくごときがつべこべ言う必要はない。
「雲のうえ」取材で最後に泊まった「千望荘」は、宿の女将が自分の本を並べた本棚が廊下にあり、これが「ゆるめ」で、しかも趣味がいい。マイク・ロムコ『男のコラム』、小林信彦『映画を夢みて』、『安井かずみがいた時代』、レベッカ・ブラウンなどが並んでいた。コメントはなしの「大ざっぱ」で、牧野さんと、「これは売りになるなあ」と話し合う。原稿には書けなかったので、ここに書いておく。
奈良の「キトラ文庫」さんが店売りの店舗を閉じるという。以後、ネット販売へ移行。林哲夫さんのブログからの孫引きで恐縮だが、「店の売り上げが家賃に届かない状態が何年も続いていた」という。むしろ決心が遅かった、とも。うなずかれる同業者の方は多いのではないか。店売りがこれほど落ち込むとは、20年前、誰も想像できなかったのではないか。