2月下旬に新講社から発売となる書き下ろし『人と会う力』の三校ゲラを、担当編集の坂崎さんにチェックしてもらい、少しやりとりをして、ようやく手を離れる。「ぼくの人生、すべて人と会うことから始まった。そして今まで生きてこられた」がキャッチコピー。『人生散歩術』に連なる、人生論的エッセイと言えばいいか。書いてから、あのことを書き落とした、あの人とのこともあるなど、いろいろあったが、まずは書けることは書いた感じである。坂崎さんから、「こういうラインも伸ばしていけば、おかざきさんの芸域が広がるんじゃないですか」とアドバイスをもらう。若い人向けを意識して書いたが、ディック・フランシス、小沢昭一丸谷才一なども登場する。
2月には、もう一冊、というか、『女子の古本屋』(ちくま文庫)が7年ぶりに増刷される。データがこの5年で変わり、けっこう手を入れた。知り合いに、「おかざきさん、これだけ本が出れば、印税だけで左うちわではないですか」と言われたが、そうか、一般的認識とはそうしたものか、と思う。本が一冊出れば数百万入り、講演(トーク)をすれば、一回、数十万の謝礼があるのでは、とも言われた。とんでもない話で、ひとケタ以上違う。いつもお金のこと(税金、保健料、ローン、医療費の支払い)で四苦八苦している。しかし、わかっていて選んだ道だからしょうがない。
評判を聞いて、先週金曜夜、有田哲平MCによる「全力! 脱力タイムズ」フジを見る。なるほど面白い。情報番組のパロディというのか、徹底して情報を茶化す、それをグズグズの進行で展開する、とでもいえばいいのか。「三四郎小宮浩信が出ていて、松坂桃李が「三四郎の大ファン」というウソっぽいコメントがあり、急きょネタを披露することになる。相方の相田を呼んであると言うが、出てきたのが「カミナリ」たくみ(「おめえ、そう言えば××だな!」と相方の頭を叩く)で、二人で「三四郎」のネタをやるが、途中から「カミナリ」モードに入る。と書けば、いまのお笑いに詳しいようだが、ネットで検索して、それぞれ名前を知ったのだ。ひんぱんに頭を張られる「カミナリ」の若き日の三国連太郎がイガグリになったみたいな「まなぶ」は、早稲田の政経中退だという。「カミナリ」の漫才は新しいと思う。