昨日は今年最後の「上々堂」補充精算。「水中書店」へ寄って(お客さんがたくさんいた)、鮎川信夫晩年日記収録の「現代詩手帖」、塩とたばこ博物館図録「和田誠の仕事」1000円、それに告知チラシをあれこれ貰う。田中小実昌の映画エッセイを読んでいると、バスに乗って都内映画館を巡る話が面白い。なかで田園調布から吉祥寺経由で「都民農園セコニック前」終点行きというバスに乗り、終点で降りている。しかし「『都民農園セコニック』というものは、どこにもなく、いったい、都民農園セコニックってなんだろう」という一節があり、こっちも「なんだろう」と思う。名前からして、何かとんでもない光景が広がっていそうだ。で、ちょいと調べたら、陸上自衛隊朝霞駐屯地の南、新座市栄4丁目にバス停「都民農園セコニック」と呼ばれ(ぼくの所持する地図では「セコニック」のみ)、「セコニック」とは光学機器メーカーでこの地にあった。現在は「いなげや」になっている。で、「都民農園」は、かつて計画されたが(現在の市営墓園がそうだろうか)実現せず、名のみ残ったというのだ。じつに不思議な話だ。なにかあると思うではないか。この栄町、練馬区新座市の境にあり、周辺一帯、鉄道はなく、大泉学園までバスで出るようだ。コミさんの乗った田園調布から都民農園セコニック行きも今はない。「都民農園セコニック」バス停で降りて、大いなる喪失感を味わいながら記念写真を撮りたい気持ちもあるが、まあ止めておく。