市川崑「青色革命」録画を見る。1953年作品。千田是也主演。千田は著名な歴史学者だが、左翼的言動から大学を追われ、自宅でひっそり暮らす。築地小劇場出身で、検挙投獄の体験を持つ千田にうってつけの役。来年50になる(数えか)というが、60代半ばぐらいに見える。住宅地の長い坂を下り、駅前の繁華街へよく散歩するが、それが自由が丘。駅前の飲食店街などはセットであろうか。美術は村木忍。撮影は中古智。音楽が黛敏郎。アプレの映画雑誌女性編集者が久慈あさみで、シスターボーイのように女言葉でくねくねしている三国連太郎(珍品)とデートの待ち合わせで、渋谷駅前、ハチ公像が映る。サンドイッチマンがいる。「ナイヤガラ」がかかる映画館は渋谷国際、と見える。千田の息子で高校生に江原達怡(1960年代「東宝」作品にじつによく出演)。沢村貞子加東大介姉弟も出演。原作は石川達三だが、読まれなくなった作家の筆頭であろう。個々の俳優の演技や、描写で面白いところもあるが、いま見ると、どうもピント来ない映画だ。