『女子の古本屋』ちくま文庫が、初版から何年ぶりになるか、増刷が決まる。どうしても手を入れなくてはいけない個所があり、本を探すも、部屋で見当たらない。こんなことばっかり。編集部から当該部、コピーファクスしてもらう。ポンコツぶりが加速する。京都で除夜の鐘を聞きたい気分になる。住んでいた時は何とも思わなかったが。
書評用、小路「東京バンドワゴン」幸也『駐在日記』読み始める。ふむふむ、なるほど、設定が巧いなあ。「アカハタ」G氏との対談による連載が始まった「昭和歌謡」、二度目の収録を終え、次回は「わろてんか」にあわせ、大阪歌謡をテーマに。ぼくの担当。いろいろ調べたら、まあ、あるわあるわ。8割は知らない曲。デューク・エイセス唄「千林商店街の歌」を見つけ、ガッツポーズ! 「一、十、百、千、千林〜千林商店街」。藤田まこと「十三の夜」も聞きたい。イーデス・ハンソンも「大阪ええとこ」をうたっている。まあ、歌っていそうですね。しかしシングル盤を見つけるのは、この分野、難しそう。
うちが電蓄を買った時、サービスでついてきた(父親が選んだか)二枚のシングルが雪村いづみ「約束」とフランク永井大阪しぐれ」の二枚、しばらく、この二枚をくり返し聴いていた。昭和40年ぐらいのことである。「大阪しぐれ」の「がたろ横丁で行き暮れ泣いて ここが思案の合縁奇縁」など、音で聴いたら「がたろよこちょでいきくれないた ここがしあんのあいえんきえん」と、小学校一、二年では、なんのことか、さっぱりわからなかった。春日八郎「いきなくろべえみこしのまつに あだなすがたのあらいがみ しんだはずだよおとみさん いきていたとはおしゃかさまでもしらぬほとけの」も同様。こちらも意味不明。歌舞伎、浄瑠璃、落語、浪曲、講談ネタが、庶民に浸透し、共有する教養があった時代である。それらバックボーンがなくなり、芸能ネタ、事件ネタがニュースショーなどで増幅され、かつてあった教養の貯水池が埋め立てられていく。「忠臣蔵」は、毎年、どんなかたちでもいいから、やってほしい。SF忠臣蔵ってあるのか、ありそうだな。悪の惑星「キラー」に着陸した地球人「タクミ」がいじめられ惨殺され、47人の編制隊が敵討ちに行く。リーダーの「ビッグロック」は「最後はフォースを使うのだ」と部下に教える。