いい天気。「ギンレイ」で「カフェ・ソサエティ」、「ラ・ラ・ランド」を観る。満席であった。そうか、二つとも若き日につき合い、実らぬ恋を描いた点が共通している。前者はウディ・アレン監督。こういう小さなゴシップみたいなラブ・ストーリーを洒落たタッチで描けるところ、ウディ・アレン健在を感じさせる。
その前、「ささま」へ寄ったら、強風で均一の本がバラバラと風で持っていかれ、道の反対側まで吹き飛ばされる。このところ「ささま」にいる可憐なアルバイトの女の子が、あわてて出てきて、均一棚を店の奥へよいしょ、よいしょと引っ込めようとしている。つい、後ろから押して手伝ってしまう。すごい突風であった。5冊ほど買う。
文春文庫のアンソロジー「人間の情景3」『愛の迷宮』をほぼ読了して、堤千代「小指」、野上弥生子「茶料理」に感服する。この二作については、言いたいこと多し。堤千代は女性初の直木賞作家。二十代初め、であった。病気で小学校もほとんど行かず、寝たきりに近い状態だった。作品数は多く、しかし検索したら、著書にはけっこう古書価がついてる。堤千代を卒論に取り上げる女子学生、いないだろうか。「小指」はコロキアルな、可愛い作品。そうか、野上弥生子、こういう理知的な、描写が正確な作家だったのか。「こころ」の別バージョンの趣きあり。岩波文庫から短篇集が出ていて、そこにも入っているはず。どこかに持ってるはずだが、買った方が早いか。このアンソロジー、よく出来ているのなり。カバーデザインは和田誠。さいきん、あんまり見ないなあ。ほとんど揃っているはずだが、どこにあるか。野上弥生子の古書価は安い。今日も「ささま」に、全集の翻訳篇が105円で出ていた。短篇集の巻なら買っていた。
夜、酔っ払ってBS朝日、野口五郎と犬山紙子MCによる、お宅に眠っているレコード、一緒に聞かせて下さいみたいな2時間番組、おおいに堪能して見る。テレ東の手法が、他局にずんずんと進出していることがわかる。一回きりみたいだが、ぜひシリーズ化してほしい。