昨日、夕方阿佐ケ谷。筑摩のA氏と喫茶「gion」で落ち合う。12月上旬、ちくま文庫から出る『ご家庭にあった本 古本で見る昭和の生活』の初校ゲラを受け取る。文庫化にあたり、タイトルが、正題と副題が入れ替わる。この元本が出て5年、一度も読み返すこともなかったが、久しぶりに通して読む。いくつかA氏から指摘されたこと以外、とくに直す事もなさそう。ただ、この5年で状況が変わっていることあり、それは注が必要。「大リーグでマツイ、イチロー、マツザカ」なんて書いているが、もうずいぶん昔のことのように思える。「gion」という喫茶店、A氏からどこか落ちついた喫茶店と言われ、検索して決定したのだが、なんとも雰囲気のある、女子好みの店。われわれが座った窓側の4人席の隣りは、テーブルをはさんで、席がブランコになっている。若い女子が楽しそうに座っていた。へえ、こんな店あったんだ。西友の脇の道を入ってすぐ右手にある。
「これから、井上理津子さんたちと飲むんですよ」とA氏に告げ、待ち合わせの吉祥寺「よみた屋」へ。30分ほど早く着き、店内を物色。見どころが多い棚で、勉強にもなった。「これは!」と思う本にはきっちり値段がついている。鍵谷幸信に、こんな値(3000円)がついているとは。何か買いたくなって、J・G・バラード『溺れた巨人』300円(「新潮講座」で、この標題作の読書会をした)、書肆山田の「日本のライトヴァース」1『煖爐棚上陳列品一覽』500円で買う。どっちも持っているが、ちょっと読みたくなって。こういうことするから本が増える。
「よみた屋」で、4人が落ち合う。2人はM新聞の社員で、そのうち1人は小学校の同級生。それにぼくと井上さんというフリーライターの組み合わせ。井上さんが「阿佐ケ谷でA氏にばったり会いました」。ええっ、すごい引きだなあ。「戎ビヤガーデン」で飲み食いし、「歌広場」というカラオケで一時間。同級生のMは鉄ちゃんで、上野発青森行き、夜行特急「八甲田」の車内アナウンス(各駅到着時刻や注意事項)を完璧に諳んじて、山口百恵いい日旅立ち」をバックに、一気に喋る芸を持っている。昨年末に同じメンバーでカラオケに行って聞いたが、これがメインイベントになってしまった。この夜も淀みなく、うれしそうに、しかも「いい日旅立ち」の尺にぴたり合わせて喋り切った。