okatake2017-04-28

5月3日京都「徳正寺」でのイベント、あと一週間というところまで来ました。林哲夫さんが、再度、告知をアップして下さっています。こちらからどうぞ。
http://sumus2013.exblog.jp/ 受け付けてくれている「京都メリー・ゴーランド」に感謝だ。
どうもいかんなあ。5月に重なるいろいろで、頭がいっぱいになり、落ち着きがなくイライラしているようだ。やれることしかやれないんだから、と思うんだが、手と頭が追いつかない。こういう時は気をつけねばならない。思わぬポカや、落とし穴にはまってしまう。
「徳正寺」イベントについて、関西の友人に告知ハガキを出したところ、懐かしい人から電話をもらい、昔ばなしを。しかし、ぼくは覚えていないことばかりだ。記憶力がそんなに悪い方じゃない(年号とかはダメ)と思うが、記憶に刻む方向というか、アイテムが違うんだろう。「たくさん本を出されて,印税でじゅうぶん食べて行けるでしょう」などと言われたが、本や出版のこと、そんなに疎い人ではないと思うが、それでもそう思われるのか、と愕然とした。印税で食べられる頂は、4000メートル級酷寒の山岳にある。数年前に出た本で重版かかって印税が発生する、ということはまずなく、多くは最初に出た時の受け取り分だけだ。出た本の半分はすでに品切絶版で、「何もなかったように朝を迎える」(松任谷由実)。愚痴も言わずに女房の小春……のつもりで生きていたいが、つい。
『中央線古本屋合算地図』(盛林堂書房)が、とうとう出来上がったようである。今日、サンデーの本選びの帰り、盛林堂へ寄って、200冊ほどのサインを入れに行く。
山高登『東京の編集者』(夏葉社)は、楽しく、付箋を貼りながら一気に読んだが、簡単には紹介できない。新潮社の編集者は、そんなに多く知らないけど、みんな品がいい。山高さんもそうだ。その「品」が、語りにも写真にも版画にも装幀にも表れている。山王書房関口良雄の横顔の文章スケッチもいい。入院中の上林暁を見舞い、そこで関口と会い、上林好きということで意気投合し、そのまま渋谷の喫茶店で四時間話し続けたという。関口は文章もうまいが、話もうまい。山高宅へ遊びに来たときも、テレビをみんなで見ていたが、いつのまにか関口の話が面白く惹き込まれ、テレビのことを忘れたという。この「熱さ」と「話の巧さ」は、長男の直人さんにも受け継がれている。昨日、NHKで山高展が紹介され、動いている山高さんも映った。90というが、喋りはしっかりしておられる。鎌倉の川端康成邸へ原稿をもらいに行き、留守だったので、駅前の街頭テレビで力道山を見ていたら、カツカツと音がして、川端康成が歩いてきた。それで、また川端邸へ向かった。「なぜか、川端先生は、私のこと、嫌わなかったみたいです」と山高さんが言う。なんか、感じ、わかりますね。島田くんも山高さんと一緒に映っていた。祖父と孫ぐらいの年齢差か。
しかし、NHK、新潮社も夏葉社も固有名詞だからと避けて出さない。「○○ビールは美味い。私はこればっかり飲んでます」とNHKアナウンサーが言うのはたしかに変だが、事実は事実としてちゃんと報道してもらいたい。
内田百間島村利正尾崎一雄谷内六郎小沼丹の話もいい。志賀直哉がしきりにダジャレを言ったというのも初耳。初版2000部というような、出版社が儲からず、あまり有り難がらない作家を、山高は大切にした。それは古本屋さんが好きな作家とも重なっている。