5月6日「西荻ブックマーク」の還暦イベント、場所が変更になりました。ビリヤード山崎からこけし屋(別館2階)へ。ご注意ください。
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三木卓の自伝的長編小説『柴笛と地図』を読んでいたら、静岡在住の高校時代の古本屋体験が書かれている。もちろんチェックだ。「静岡市には、駅前の赤春堂をはじめとして、きちんとした古書店らしい古書店が五軒ほどあった。ここはおそらく旧制静岡高校の教授や生徒たちが育てた店だ。/そのほかに、均一本とかゾッキ本(倒産した出版社の投げ売り本)とかを中心にした、どこか俄か作りの店も数軒あった。(中略)赤春堂は、静岡市を代表する店である」とある。この「赤春堂」とは、どこか。「松尾書店」(御幸町七)は実名そのままで登場。昭和三年開業で、夜店から今日を築いた人と、1984年版『全国古本屋地図』に解説されている。ということは、三木が高校生だった1960年代に、実在した店のようである(いま、その時代の古本屋地図がすぐに見つからない)。松尾書店の描写も細かいが、くわしくは本編にあたってもらうとして、主人公・豊三(三木の分身)がここで買った小田実『明後日の手記』について触れている。小田は当時、高校二年生だったという。早熟な才能が同世代に崇められていた。
古本屋、というと、なぜ興奮してしまうのか。先日、ニュース番組で、日本のカジノ解禁で誘致を計画中として、北海道の旭川のスキー場が紹介されていたが、そのとき、旭川の市中で市民に是非をインタビューしていて、ちらりと「古書」の看板が写り込んだ。「あ、古本屋!」とでかい声を挙げたら、横にいた妻が「ああ、びっくりした」と言った。いまでも「古書」や「古本」の文字を町の看板に見つけると、ドキッとするのだ。まあ、一生、治らないでしょうね。