中央公論新社の担当編集者Fくんから、『古本道入門』が、なぜか東京堂神保町店で文庫部門一位になったと知らせが来る。出た当初、ほぼ同じ時期に出た三上延さんの『ビブリオ古書堂』の最新刊が出たため、当然ながら二位に甘んじていたが、その後、だんだん下降し、いま突如一位に輝いたというのだ。誰か、まとめ買いしてくれたのか。あるいは、SNSでツィートしてくれたか。とにかくうれしい。
「新潮講座」の読書会は、思ったより集まりが悪く、第一回の「伊豆の踊子」だけ、参加者がいるので予定通り開かれ、あとは夏の講座もキャンセルとなった。図書館や古書店やカフェなど、各所で読書会は開かれていて、無料かお茶代程度の参加費の場合が多いので、3000円強(学生割引あり)を払ってまで、となるとやっぱり難しいか。もちろん、堀江敏幸さんや川上弘美さんが開けば、あっというまに席は埋まるだろう。当方の知名度では、なかなか。それに、あちこちでトークとかイベントで喋っているから、ぼくというタレントに新味がない、とも言える。それだけに今回の参加者は大事にしたい(当日参加も受け付けております)。すでに準備は始めている。まあ、この準備が大変というのは、こちら側の問題である。しかも、その準備は勉強にもなる。
小玉武開高健』を読んでから、開高健をちびちびと再読している。新潮文庫『歩く影たち』は、開高のベトナムものを集めて、さすがに読みごたえがある。燦爛とはじけ、踊り、謳い、明滅する文体に酔う。匂いと音に敏感、というのも特徴だろう。