午少し前、神保町。「がらくた」展で4冊。田村隆一『ぼくの中の都市』は、部屋のどこかにあるのはわかっているが、仕方ない。買う。昼時どこも飲食はどこも列を作っている。中華食堂ならいつでも座れる。角のパンケーキの店は寒空に長蛇の列。飯田橋へ移動、塩山御大のキライな「ギンレイ」へ。パスポート会員券の期限が切れるので更新。窓口で「(入会して)10年になるので、14カ月更新が先になります」と言われる。1年+2カ月使えるわけだ。2カ月ぶりぐらいに、せっかくだから席に座る。フランス映画「めぐりあう日」を見る。パリに夫を置き、出生の秘密(実母を知らない)を調べるため、息子とダンケルクへやってきたエリザ。仕事は理学療法士。やることは整体みたいなこと。小学校で、給食補助と清掃の仕事をしている中年女性と、治療で知り合うが……。監督はウニー・ルコント。パトリス・ルコントと関係あるのかしらん。役者も知らない人ばかり。言いたいこともわかるし、間違った撮り方とも思わないが、なんだかかったるい。出生にも、家庭問題(息子との関係)にも悩む、女性主人公に感情移入できないからかもしれない。生活感みたいなのは、よく出ていました。これで、おバカな人が、一人ちょろちょろすれば、生彩が出るのだが。
どうしても古本では見つからず、もう待てないので、三省堂神保町本店で有坂蓉子『ご近所富士山の「謎」』という富士塚ガイド(講談社+α新書)を買う。新書売り場にちゃんと並んでいたので、むしろ驚く。これに、知りたいことは全部書いてある。今のぼくにとっては100点満点の本。なんの不足もない。そうか、頂上の祠は「奥の宮」と呼ぶのか。千葉や神奈川にも、けっこうあると知る。富士塚の宝庫が江戸川区、というのも意外であった。この本で取り上げた36基に限るが、中野区、杉並区、世田谷区にはない。