「なごやか文庫」黒っぽい本棚で拾った薩摩治郎八『巴里・女・戦争』初版帯が、けっこういいものだった。すぐグラシンを巻く。「日本の古本屋」出品が5点。イタミ、シミのある4500円から1万3000円まで、いい値がついている。しかも、帯つき、という指定はない。現場で古ツアさんに見せたところ「お、ちゃんと帯がついてるじゃないですか!」が第一声であった。一緒に買った「少年画報」ふろくマンガは、あそう・しょう六『特ダネ六さん』。昭和36年だって、ぼくはまだ4歳。最初の古本屋「中田書店」店頭でふろく漫画を漁っていた頃、こういうのが混じっていた気がする。この「特ダネ記者」および新聞雑誌記者を主人公にしたものは、マンガ、小説、テレビドラマに当時多数あった。彼らがいわば探偵役になって事件を追うのだが、記者がスターであり、花形の職業だった。大津円子『女自動車屋』は、『巴里・女・戦争』の流れで買った。これもグラシンを巻いておこう。
今日は「人生散歩術」の増補で、田村隆一と「都市」について、あれこれ考えていた。「都市」という田村編集による雑誌も、どこかにあるはずだが、霧の彼方だ。