BSドラマ「ブシメシ」のCMを、やたらにNHKがくり返していて、本編は見るつもりもないが、そのコントふう紹介で、田中圭の相手を軽妙にこなす女優がいる。まったく誰か見当がつかず、検索したら酒井若菜であった。であった、と書いたが、どういう人がわからず、なおも検索すると、元グラビアアイドルだという。侍姿の田中圭が「料理ができない。野菜炒めが野菜煮になる」と言うと、ちょっと間を置き(どんな返しをするかと待っていたら)、田中の肩をそっと叩き「ドンマイ!」と言った。それまでのやりとりを含め、これは絶妙な流れである。果して台本があるのかどうか。あったとしても、ここは見る価値がある。
あと、NHKがCMが多くという苦情を「朝日」の「声」の欄で読んだが、たしかにそうで、ここのところは中原中也である。今年生誕110年になるとかで、今夜も山口発の中也ドラマが放送されていた。いかにも頭で作ったというドラマで、感心はしなかったが、このドラマのプッシュのため、いろいろ中也関連の過去の番組が再放送されるのがうれしい。「上京する文學」「ここが私の東京」の流れで、中也も射程にあったが(京都経由という上京変則版)、叶わなかった。
里山社がずっと山田太一のシナリオを単行本にする作業を続けている。最新は『男たちの旅路』。同シリーズ全作を集める。これを風呂で、各俳優のものまねをしながら、声に出して読むと、涙が出てきた。挟まれた栞に、ぼくも一文を寄せている。