okatake2017-01-17

昨日、NHKでネプチューン主演の空想大河ドラマ「小田信夫」試写を見る。前田司郎脚本が、時代劇をどこまでふざけられるか、という試み。ネプチューンの三人が会場に来ての記者会見があったが、ぼくは次があるので直ちに退席。阿佐ケ谷へ。これまたNHK「東京ディープ」で「阿佐ケ谷」を取り上げることになり、青柳邸で「阿佐ヶ谷会」についての青柳いづみこさん中心の撮りがあるという。中央線文学研究の第一人者・萩原先生の要請で、平日昼間に身体が空く「新阿佐ヶ谷会」メンバーということで、ひさしぶりに青柳邸へ。ここは、いづみこさんの祖父、青柳瑞穂が暮らした家で、井伏鱒二上林暁木山捷平太宰治などが集った。事前に、青柳いづみこ川本三郎監修『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』2007/幻戯書房南陀楼綾繁編集)を読み返す。たぶん、自分の書庫から見つからないだろう、図書館で借りるかなどと思ったら、思っていた場所であっさり見つかった。探している本が、こんなに簡単に見つかるのは珍しい。久しぶりに、自分の書いた「阿佐ケ谷・荻窪文学散歩」などを読んでいたら、これ、よく出来た本で、よくぞ作っておいてよかったなあ、と思う。本文活字が精興舎というのもうれしい。
青柳いづみこ邸で、川本三郎さんを顧問に、縁の編集者や装幀家、ライター、音楽家、教員などが集い、酒を飲む「新阿佐ヶ谷会」が始まったのが2002年1月。きっかけは、2000年にいづみこさんの著書『青柳瑞穂の生涯』(新潮社、のち平凡社ライブラリー)が出た時、志願して「サンデー毎日」著者インタビューで青柳邸を訪れたことにある。ここが、あの「阿佐ヶ谷会」の家かとカンゲキし、その熱をいづみこさんに思う存分伝えたところ、それじゃあと始まったのだった。そういう細かなことも、じつはこの本を読むまで忘れていた。2003年には、阿佐ヶ谷会に倣って、奥多摩へ遠足に出かけている。「阿佐ケ谷・荻窪文学散歩」ルポを書くのに、ナンダロウくん、新潮社Yさん、カメラマンTさんと一緒に周辺を巡って、そのときの写真が『アルバム』に収録されていて懐かしい。川村書店前で、ご主人、均一を漁るぼくとナンダロウくんの後ろ姿が写っている。これ、貴重な写真だ。
青柳邸を辞す時、いづみこさんから、高橋悠治と録音した新譜CD「大田黒元雄のピアノ」をいただく。大田黒元雄邸に残された1900年製スタインウェイを修復、日本でプロコフィエフが弾いたというピアノが復活、大田黒邸で催されたピアノの夕べで演奏された曲を、両ピアニスト青柳、高橋という異色組み合わせが再現するという試み。深夜に聞き、いままた早朝に聞いたら、荘重、典雅な気分になる。