朝からメールを打ったり、ゲラを直したり、ファクスしたり、あれこれ重なりパニックになる。まったくキャパが小さい人間である。
喪中につき、という挨拶が舞い込む季節。そのなかに驚愕の一通があった。国分寺古書店「雲波」の店主、佐藤勝彦さんが逝去された、というのだ。享年63。「えっ!」と声が出た。それからしばらく言葉が見つからない。どうしたことか。「雲波」を始められたのが、まだ三年ぐらい前ではなかったか。別荘をお持ちで、いつかご招待しますよ、なんて言われて、楽しみにしていた。御自身の好きな本だけ並べるという、音楽関連や詩集の多い好ましい、いごこちのいい店だった。ここのところ、何度か行ったが店を閉めておられることがあり、しかし、それほど変とも思っていなかったが、こうなるとは……。
店は共同経営していた妻の七重さんが継がれるという。そうしてほしい。再開は来年一月半ば過ぎとか。お悔やみは、落ち着いてから、店で言うことにしよう。短い間だったが、佐藤さんとは、店へ行ったり、中川フォークの客で来ていただいたりの交流があった。コトバ少なく、控えめの佐藤さんは、しゃべくりのぼくとは対照的であったが、音楽の話など、ウマが合った。50代から60代始めに、知り合いがバタバタと亡くなっていく。覚悟が必要だ。今日はしんみりと、ひとり、佐藤勝彦さんを偲ぶ。寒さが身に沁みる11月である。
仕事も一段落し、なんとなく気分で、コルトレーンをかけながら、半七捕物帳のページをめくる。