昨日、音羽館白石かずこフォア・レディース、を見る。横尾忠則カバー絵、宇野亜喜良デザインで、すごくかっこいい。本文にもふんだんに海外の写真図像(ビートルズほか)があしらわれ、おしゃれなんだが、今ではこういうことできないだろう。つまり版権の問題で、肖像権にある人たちの写真を、無許可で勝手に切り貼りして使うのは無理、ということだ。音羽館へ寄ったら、一度、見てください。左側ドアから入って、左のフォアレディース陳列台ともいうべきコーナーになります。世田谷文学館花森安治展図録は売れていた。
音羽館店頭で買った、二つの古本屋特集雑誌。一つは1999年「アミューズ」、もう一つが2011年の「月刊京都」。後者には善行堂、林哲夫さんが登場。アスタルテの佐々木さんも。「アミューズ」は、首都圏・名古屋・京阪神の古本屋特集。よくやったなあ、こんなこと。だってライターは、ぼくと今村守之くん(ともに枚方市出身)の二人だもの。このあと、このライターコンビで、再び京都へも行っている。今村くんが途中で倒れて、ぼくが一日6、7軒やったのではなかったか。そのあと、もう一度行ったときは、今度はぼくが倒れた。実家で一日寝込んでしまった、なんてことがあった。仕事がハードということもあったが、たまたま、でもあった。
アミューズ」表紙写真は名古屋・鶴舞の「山星」だ。真ん中に黄色いコートの背中を見せて座っているのがぼくだ。東京では、ありし日の江口書店さんのいい写真が掲載されている。ずっとタバコを吸ってらして、横に、足のついた灰皿が置かれていて、江口さんは、その方を見ずに、パッパッと灰を落とすのだった。
あと、神戸では「さんぱる」の4店を制覇。すべてその後、消えてしまった。とくに間島さん、ロードスさんが早世され、そういう意味では印象深い取材となった。「蝸牛」は、店名もいいが、文学の本当にいいところをびしっと揃えた、いいお店だった。幸田露伴はじめ、蝸牛本を集めたコーナーに、蝸牛のオブジェや置物がたくさん置かれていて、それは友人やお客さんが「こんなのあったよ」とお土産にくれたものが多い、とおっしゃっていた。古本屋さんにおける、店と客の関係を示したいい話だと思った。客の方がお土産をもって訪れ、店主を喜ばしたいと考える店はいい店ですよ。いま、善行堂もそうであるはずだ。
今村くんは、蔵前時代の「キントト」、大岡山時代の「日月堂」、九品仏「なないろ文庫」などを取材。なないろ田村さんの「桜の木ばかり集めれば、桜の専門店になるけど、雑草でも、それはできる。同じくらい奥は深いと思う」と、いいセリフをちゃんと拾って原稿に生かし、さすが。その田村さんも今はいない。日月堂さんの写真では、帝政ロシアの楽譜が写る。そうか、すでにこういうものに目が向いていたのか。など、いろいろ楽しい特集だ。