「サン毎」著者インタビュー、陣野俊史さん『テロルの伝説』、なんとか仕上げて送付。文芸誌ではなく、一般週刊誌の読書欄であること、意識してまとめるというのが、なかなか難しかった。なんとか、うまく着地できたろうか。
「東京人」の「ガロとCOMの時代」特集、つげ義春インタビューを読み返していて、そうか、正介くん(つげ義春の長男)も40過ぎか、と思う。この20年ぐらい、人と交わらず、あまり外出もしていないという。夫人のマキさんが亡くなったのが1999年。つげ義春も、もう80歳だ。国立「ビブリオ」の「つげ忠男」展には、ひょっこり姿を見せたと、十松くんが言っていた。
そんな流れで、『新版 貧困旅行記』をひさびさに読む。やっぱりおもしろい。これほど、旅をした漫画家は珍しいだろう。丹沢山系の鉱泉を訪ね歩く旅をしているとき、新宿(にいじゅく)というところでラーメンを食べ、「その向いに小さな古本屋があり」という記述に驚く。昭和63年の文章だが、そんな辺鄙な場所に古本屋があったのか(いま地図で確認したら、萩野新宿という場所があり、町なかで、古本屋があっても変ではない)。奥多摩貧困行で、桧原村のところに登場する「橋本屋(橋本旅館)」は、むかし、鈴木志郎康さんが主宰する「飾粽」という雑誌の同人一行で、一泊したことを思い出す。武蔵五日市からバスに乗ったのだったか。そうか、つげは、宮本常一を読んでいる。