okatake2016-05-30

宮谷一彦『俺たちの季節(とき)』を、何十年ぶりに読んでいたら、「COM」の時代を思い出す。何度か書いたが、ぼくは廃品回収の倉庫で「COM」を見つけ、小学校高学年から読み始めていた。宮谷一彦は少し難しかったが、かっこいいとは思った覚えがある。のち五木寛之を読んだとき、なんだか宮谷一彦みたいだとも思ったのだ。同著所収「風に吹かれて」は、主人公の青年が三鷹在住という設定。太宰が好んだ陸橋、駅ホームへの階段、改札、深大寺なども出てくる。国電初乗りが20円。その20円区間表に「ココ」が真ん中で、右に「アチラ」「トオク」、左に「コチラ」「アルケ」「ノルナ」なんて表示してある。遊んでいるのだ。しかし、絵が巧いなあ。高校時代、Wという友人が、絵が巧く、宮谷そっくりのコマ漫画を描いていた。もらって、ずいぶん長い間、保存しておいたのだが、出てくればおもしろい。