さいきん受贈書の紹介を怠っております。すいません。これだけはどうしてもという二冊が届いた。幻戯書房である。銀河叢書である。木山捷平である。しかも2冊ダブルで。『暢気な電報』は単行本未収録の短編を集める。帯背に「知られざる短篇、新発掘」とある。『行列の尻っ尾』は未刊行随筆集。帯背に「基本的飲権あり」。『暢気な電報』『行列の尻っ尾』ともに、いかにも木山捷平らしいタイトル。『行列の尻っ尾』の目次を見ると、そうか「基本的飲権」というタイトルのズイヒツが木山にあるんだ。酒の話、ほかいろいろ。あと「よその奥さん」「柳の下と水たまり」「女房のお灸」「安かろううまかろう食べ歩る記」など、顔がほころぶ楽し気なタイトルが並び、なんとなくうれしくなってくる。この二冊をカバンに入れて、どこか温泉宿で二泊三日でいいから、のんびりしたいものだと考える。それほど難しいことじゃないのだが。
こういう文章書ける人、いまなら誰だろう。山崎ナオコーラさんの『かわいい夫』(夏葉社)を読んだとき、ちょっと通じるものを感じた。擬態で意識してそう書くとわざとらしくなるし、これはなかなか難しい芸なのだ。