名言・名ゼリフでエッセイ(400字数3枚くらい)を書く教育誌の仕事、もう10年以上続くが、四月からも登板が決まる。完全に字数が体のなかに入っており、ネタさえ決まれば、すらすら書いて、最後の数行の着地までほとんど迷いや遅滞がない。今回は「海街diary」(原作の方)を取り上げ、第六巻より「きれいなものの力ってすごい」を拾い上げる。このうち100回強分が、今春、知恵の森文庫からまとまって出る予定だ。自分でもまとめて読めるのが楽しみ。
昨日、あまりにいい天気で、午前中は仕事、午後外出。八王子「夢美術館」の招待券があり、「日本のポスター芸術展」を見にいく。「ブ」で色川武大『生家へ』講談社文芸文庫510円を買う。ちょっと必要があって買った。そしてもちろん昼は「ほし野」でトンカツ定食(500円)。大盛りゴハンが無料なので、ほとんどの人が大盛りを頼む。ぼくは大盛りだとちょっと多い。店員に愛想がなく、お代わりの水はセルフ、キャベツがちょっと少なめ、食器はプラスティック、伝票はメモ用紙に殴り書き、相席必至だが、まったく不満はない。幸せたっぷりで、さくさくとおいしく食べる。
佐藤、まつおかと古本屋2店を覗き5冊買い、そのまま「夢美術館」へ。ユーミンの実家、荒井呉服店と通りを隔てて隣りにある。いろんなテナントが入ったビルの2階にあるが、一階の大きなテナントが空きになっていて、なんだか淋し気なビルだ。展覧会会場も客は4、5名。入口に制服姿のガードマンが仁王立ちで全フロアに目を光らせている。企画はいつも面白いが、なかなか足が向かない美術館である。展示は見応え有り。おかしな抽象画や、つまらぬ油絵より、こっちの方がよほど面白い。常設で鈴木信太郎が10点ほど展示してあり、大いに気をよくする。
このあと陣馬街道を1時間近くテクテク歩き、古ツアさんがガイドしていたリサイクル型古本屋「さわやか記念文庫」へ。「さわやか」さは微塵もないところが、かえって潔く、さわやか。本の量だけは多いが、それなりに整理もされているが、値段は決して高いわけではないが、いや、ここでよく古ツアさん、買えたなあ。本の洞窟にうずくまるオヤジさんが、ずっとひとり言をいってて、最初、話しかけられたかと思って「ハァ?」みたいな反応を示したら、逆に驚いていた。小学生の女子二人が、仲良く、店内を散策、レジで「雑誌、買ってくれますか?」と質問したら、非常にていねいに事情を話して断られていた。その対応に好感を持つ。おじさん、優しいんだ。
けっきょく何も買えないまま、目の前のバス停「三村橋」(10分ごとぐらいに便はある)でバスを捕まえ駅まで戻る。いつも行かない八王子を巡り、楽しかった。