朝だ、夜明けだ。出発の朝だ。
というわけで、年始恒例となった西荻にわとり文庫」100均一祭へ。オープン5分前に着いたら、長い行列。異様な光景に、通りがかる人が不審そうに見ていく。小さい自転車を漕ぐ、ミュージシャン風の男性に「な、なんすか? この行列」と問われ、「古本ですよ」と答えると、「うヘェ、古本ですか」と去っていく。それを聞いて笑った、ぼくの前に並ぶ2婦人と言葉を交わす。初参戦とのことで、古本屋へあまり行かない人らしい。「西荻は古本にとっていい町ですよ」と解説する。
ジャスト11時、人人人がなだれこむ。ぼくは素早く、古い「プレイガイドジャーナル」が積み重なった一角を見つけ、がさりと確保。74年から82年ぐらいの号が全部で14、5冊。全部いただく。あとはおまけみたいなもので、それでも27冊を買う。背がかなり痛み、裸本ではあるが、アトリエ社の現代ユーモア小説全集の佐々木邦『求婚三銃士』もうれしかった。盛林堂に荷物を預け、高円寺「杉並書友会」へ。ここでまたガサゴソ。ゼンタイに安いなあ。このあと、千駄木「ほうろう」へ行くつもりだったが、力ここに尽きた。
木山捷平『酔いざめ日記』が、講談社文芸文庫に入って、送られてきた。うれしい。『新編 日本の旅あちこち』の解説を書かせてもらったとき、担当編集者に「ぜひ、『酔いざめ日記』を講談社文芸文庫に」と推していたが、そのため、というわけではないだろう、候補にあったに違いないが、実現した。抄録でもしかたないと思ったが、全編収録。700数十ページ。机に軽々「立つ」厚みであった。しかし、木山捷平講談社文芸文庫によく似合う。昭和38年正月、木山宅には200枚以上の年賀状が届き、お年玉当選は、セロテープ3と切手シート6。セロテープというのがしょぼいです。