カマキンとペーパームーン

快晴、懸案の神奈川県立近代美術館(カマキン)が来年一月末で閉じるというので、でかけてきた。「ウサギノフクシュウ」(100円均一が充実しているのに驚いた)「游古洞」「ブックスモブロ」と古本屋をチェック(公文堂は休業日)。「モブロ」は、店主が席をはずしてドアが閉まっていた。カマキンではこれが最後と展示以外の写真を撮りまくる。同様に、写真を取っている人を多く見かけた。館内喫茶で休憩。この日は陽光が強く、鶴ケ丘八幡を借景に、あちこちの白壁に、さざなみが紋を作って投影している。この日ばかりは、収蔵作より、美術館自体を細部まで鑑賞したい。
昼は地元の名店という感じのとんかつ屋勝烈庵」でロースかつ定食(1500円+税)。もちろん上品に美味かったが、これが八王子「ほし野」のとんかつ定食(500円)の三倍美味いかと言われたら、ぼくにはよくわからないのだ。
天啓のように映画「ペーパームーン」が見たくなって、アマゾンでDVDを注文、届いたので見た。ライアン・オニール、テータム・オニールという実際の親子が、親子かも知れないという設定のなか、車で珍道中する。テータムこの時9歳の設定。すべての表情、セリフ、一挙手一投足が映画に奉仕し、映画の意図と精神を完璧に伝える。一生でこの時しかないという輝きを見せ、うなりっぱなしであった。120点の演技。最後、ホロリとさせるシーンが用意され、セリフ外に交換される心情は、やはり実の親子のものだなあ、と思わされた。ドアの取れた農作トラックで走り去る二人。その前には果てしなく蛇行して続く細い道が見える。二人の前途は多難だ、という意味であろう。しかし、残す余韻は清々しい。これからも何度か見るであろう。