呉美保「きみはいい子」を「ギンレイ」で。ずしりと来る重い映画で、しかし軽さ、柔らかさもある。ぼけの入った老婆が、その季節ではない桜の花を幻想し、最後、監督は盛大に花を散らす。子どもがみんな映画の中で生き生きと生きているのには驚いた。そうか、そうなのか学校は、母親はと、感じ入った場面がいくつも。「そこのみて光り輝く」で見せた手腕を、呉はここでも落ち着いて発揮している。高良健吾尾野真千子池脇千鶴の演技合戦も見もの。大きな観覧車の見える小高い丘の町が、北海道だと最後のクレジットでわかる。
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「サンデー」で今年最後の本選び。担当Sさんから、プレミアムなビールをひと缶もらう。九段下から有楽町へは、大手町での地下鉄の滅入る移動があるので、むしろ歩いて神保町へ。「あむーる」でまた買えず、都営三田線で「日比谷」へ。そこからニッポン放送はすぐ。神保町交差点では女子高校生の団体が合唱をし、そこに人が群がっていた。クリスマス近しだ。交差点近くに停まったバンに、一人女子高校生が走り近づきドアを開け「写真とって、写真とって」と言っている。バンで待機しているのは親、女子高生は合唱の一員の友人ならん。
「オトパラ!」でクリスマスの話をあれこれし、帰りの電車でN響の生中継「第九」スマホで聴く。国立「ニチニチ」で筑摩のKくんと待ち合わせ。ぼくとは親子ほど歳が違うのなり。近況とあれこれ。ちくま文庫獅子文六を当てたのが彼だ。最新刊の『悦っちゃん』は名作。再び、今日的視点で映画化されるといいが。しかし獅子は、四字とか五字以内でタイトルを作るのが巧い。読者に「あれ、あのタイトル何だっけ?」と言わせないのだ。