昨日も神保町。「和洋会」を覗いて、「すずらん本屋堂」の録りに、この日収録スタジオになった「@ワンダー」2Fの喫茶へ向かう。古書会館を出ようと思ったら、入口エントランスでお客さんがいっぱい滞留している。外を見るとどしゃぶりの雨だ。そして雷。20分は続いたろうか。小雨になったところで外へ飛び出す。
「コミガレ」も覗いたが、上がった雨がすごい熱気と化し、汗が噴き出す。
すずらん本屋堂」恒例の「日本古本散歩」は金沢編。北原・浜本コンビが「オヨヨ」や「金沢文圃閣」などを巡る。お懐かし「ダックビル」も登場。ゲストというか、混ぜっ返し役としてぼくと喜国さん。いつもスタジオでは上半身しか映らないが、この日、横並びに椅子に座り、全身をさらけ出す。穴の開いたジーンズを履いた喜国さんが「うわあ、見てる両親に叱られる(汚いかっこをして、という意味)」と可愛い発言。来週7月31日放送、だそうです。
終わったのが4時半ごろで、少し神保町をパトロールして、なんだか腹が減り、ひさびさに「いもや」でとんかつを喰う。いつも、出されたボリュームを見て、こんなには食えないよ、と思うが、いつも食べてしまうのだ。
「盛林堂」に「スムース別冊」50冊入荷、との知らせが。本日の午後、サインを入れに参ります。しかし、すでに15冊を岡崎棚で売っている。そんなに売れるのかしらん、と心配になる。
en-taxi」今季号が発売(田中小実昌特集)。ぼくの連載「ここが私の東京」は富岡多恵子と新宿であります。今回も牧野伊三夫の挿画がすばらしい(西口ガスタンク)。そういえば牧野さん、サントリーオールフリーの電車内広告の絵も描いてらしたなあ。妻によれば「クウネル」で連載も始まったとか。ああ、あやかりたい。
年に二回発売の「時の旅人」連載「昭和を読む」の第二回は「ラジカセとラジオ深夜放送」。
ビッグイシュー」連載「ひぐらし本暮らし」は次号で最終回。195回続いた長期連載だった。月二回発売だから、8年近く続いたことになる。書店販売はされず、路上でホームレスが売り、その売上げが彼らの支援となる。特殊な雑誌だが、特別な意義がある。一冊でも多く売れてほしい。その思いで、毎回、力を込めて書いたつもりだ。
本日、盛林堂で、「スムース別冊 詩文集」50冊にサインを入れてきました。少し岡崎棚に補充する。「音羽館」で、面陳されていた杉崎恒夫歌集『パン屋のパンセ』(六花書林)に何かを感じて、パラパラ読むと、その歌があんまりよくて、思わず衝動買いする。こういう買い方もあるのだ。杉崎はすでに亡くなっていて、同書は遺作となった。帯に「90歳。透明なユーモアとかなしみと、不変のみずみずしさ」とあるが、「90歳」とは思えぬ柔軟と若々しい感性。ちょっと引いてみようか。
「屋根高き春の麒麟舎、折たたみきかぬきりんを睡らすために」
「選ばれしものはよろこべシャボン玉をふくらましいる空気の役目」
「夜ざくらの泡立つ上に暗き天あることを誰も知ろうとはせぬ」
どうです、破調であって前衛ではなく、自在な語り口でウィットのある世界を作り上げている。ううむ、大したものだなあ。理に落ちた歌がないとは言えないが、それでも駄作の少なさは際立っている。ぼくの買ったのはすでに6刷。栞に穂村弘さんが寄稿しているぐらいだから、すでに現代短歌界ではよく知られた人みたいだ。知らぬはぼくばかり。