「中川フォークジャンボリー2」に参加くださったお客さんが、当日の様子を、ブログにアップしてくださっています。ありがとうございました。
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昨夜、橋口幸子さんの新刊『いちべついらい 田村和子さんのこと』夏葉社を一挙読了。堪能する。著者は一時期、田村隆一・和子家の二階に間借りしていた。以後、和子さんがもっとも頼りにする友人となる。その後起こった、北村太郎を巻き込んでの愛憎劇を、至近から見て、書いたのが前著『珈琲とエクレアと詩人』(港の人)。今度は、和子さんに焦点をしぼって、騒動に巻き込まれた自らの体験も交え書いている。お金のことも含め、ずいぶん俗事や、そして修羅場があるのに、澄んだ、心が透き通っていくような、きれいなきれいな本。親友の田村と北村、和子さんとの三角関係を小説化した、ねじめ正一荒地の恋』への言及も一ヵ所あり、和子さんは、あの中での自分の書かれように不満だったようだ。しかし、ああいう題材を、自分の納得のいくように書かれる、というのはほとんど無理だろうと、私などは思う。その無念を晴らすべく、橋口さんが今回、知り得るかぎりの和子像を提出した。何気ない描写が、張りつめて、行き届いた文章で、詩を読んでいるようだ。
「そうすると和子さんは、/『ああ、死ぬのは惜しくないけど、このきれいな海辺の夜景の美しさを眺められないかと思うと、さびしいなあ』/といった。/ひとりで走っているとき、わたしもいつも夜景がきれいだなあと思う。/そして、和子さんを思い出す」