今月発売「エン・タクシー」に、連載「ここが私の東京」7(砂町・清瀬 見るべきものを見る俳人石田波郷)を書いております(表紙に名前が出ていてうれしい)。同号の特集は常磐新平。
ピーカンの日曜、25日、妻とヨコハマ神奈川県民ホールへ。中尾ミエ伊東ゆかり・園まり「三人娘」ショーを見に行く。10年以上続いているショー。前から一度、見たいと思っていたのだ。朝日新聞の招待券プレゼントに応募し、優待券が送られてきた。二人で5000円。相当数これが配られたらしく、優待券からの引き換えに長蛇の列。われわれは三階席だった(ただし、悪い席ではない)。これまでの経験で言えば、招待券はなかなか当らないが、優待券はわりに送られてくる。去年も同じ手で山本潤子コンサートを見に行った。
「三人娘」の名を聞いて、うへぇ! とたじろぐ人もあるかもしれぬが、見ればわかる。おそらくそうだろうと思っていた、大人(しかもかなり高齢)の客を喜ばせる、プロ意識が横溢し、成熟したエンターテインメントに仕上っていた。これはネウチがありますよ。
みな10代半ばぐらいでデビューし、いまや三人あわせて200歳超え。そのキャリアを存分に生かし、洋楽ポップスやヒット曲を歌い(AKBまで!)、踊りっぱなしの二時間弱(途中休憩が入る)。園まりが喋り、唄、踊りともに衰えが見えるものの、三人のアンサンブルがいい。MCでは「老い」をふんだんにギャグに変え、客席の笑いを誘っていた。ソロでは中尾ミエ「片想い」にグッと来る。最後、ピカピカ光る赤い衣裳をつけて出たのだが、伊東「まあ、まぶしくて目が開けられないわ」、中尾「これ、(私たちの)孫が着るような衣裳よ」といった具合。三人娘のために作られた曲も、「老境」を盛り込みつつ、それを洗練された歌詞と曲に仕立てて、いい感じ。老年のポップスともいうべき新ジャンルではないか。
ラスト近く、舞台に客をどんどん上げてのツイスト・ショー。けっこう年輩の人でも(だからこそ、と言うべきか)ツイストが踊れる。ヨコハマという土地柄を感じる。みな、昔取った杵柄であり、脛に傷もつ人たちなのだ。
客席は後期高齢者で埋めつくされ、われわれ夫婦は若年層という感じだ。帰り、人生の先輩たちが長い階段を亡霊のようにヨタヨタ歩く姿を見ると、「三人娘」の現役感、若さが光る。ぼくはこういう人たちこそ「紅白」に出すべきだ、と思いますがね。

しかしヨコハマは遠い。しかも大変な人出。長い移動の車中では、赤瀬川原平『個人美術館の愉しみ』光文社新書をずっと読んでいた。行きたいところ多し。