先日、神保町の街角で、「日月堂」佐藤さんを見かけ、「サトウさーーーん!」と声をかける。業者市へ行く途中だという。少しだけことばを交す。佐藤さんとも長いつきあいになった。大岡山時代から。会うと、いつもぼくのことを心配してくれる。ありがたいことだ。キリキリと引き締まって生きている佐藤さんを見ると、ほどけて生きているこちらも少し引き締まる。
昨日、心に憂いあり、善行堂へ電話。薄いのでもいいから、「スムース」の最新号を作りたいなあ、などと話し合う。世田谷ピンポンズくんのことも。山本の話に、何度か電話口で大声出して笑う。それで憂いは晴れた。
60を前に、いろんな場所に、いろんな知り合いがいて、それを財産にしようと思う。東京へ出てきてよかった。
帚木蓬生『蛍の航跡』新潮文庫を読み始める。太平洋戦争に医師として参戦した人々の物語。談話や資料がもとになっているのか。それにしてもこの臨場感はただごとではない。
石田波郷について、書き継ぐ。清瀬の療養所のこと。藤沢周平は、現・東村山恩田町にかつてあった結核療養所にいた。ここでは手術ができず、西武園近くに、名前を改めて今もある病院で手術を受けていた。保生園という。この保生園に入所していた女性の娘がサツキとメイ。つまり「となりのトトロ」に出てくる病院はこの保生園がモデルなり。そのことに興奮する。
岩波文庫から谷川俊太郎編で『辻征夫詩集』(辻のしんにょうは、点2つ)が出た。こいつはいい。辻の詩を読んでいると、自分にも再び詩が書けそうな気になってくる。ところが、書けないんだなあ、こういうふうには。
あと、中公文庫が目をみはる新ラインナップで攻めている。サン毎で文庫、新書を選ぶとき、いつも目移りするほどだ。
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注目!
大事なことを忘れていた。昨日お伝えした、春のオドロキの出版物です。
もうかなり、作業は進行していて、予定通り出せそうです。あっというまに売り切れると思われます。古書価高騰必至! ツィッター、ブログ、口伝てなど拡散希望。予約開始を刮目してお待ちください。

「夭折の芥川賞作家・野呂邦暢が、密かに撮りためていた古本屋写真が存在していた。
神保町・早稲田・渋谷・池袋と、拙く清冽で執拗なカメラアイが、七十年代の都市と古本屋を駆け巡っていた。
岡崎武志氏が遺族から託された、貴重なそれらの写真を一冊にまとめたのが『野呂邦暢 古本屋写真集』である。
四月上旬に盛林堂書房より発売。

予価2500円でB6版オールカラー全112ページ。

盛林堂書房 小野純一」