昨日は雨のなか、飯田橋「ブ」をなでて「ギンレイ」で一本観て、有楽町「オトパラ!」という移動。
映画「誰よりも狙われた男」は、亡きフィリップ・シーモア・ホフマンを見るための映画。ドイツ・ハンブルグで極秘にテロ組織対策をするチームのボスが、バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)。バッハマンは凄腕で、部下の信頼も篤いが、過去にテロ対策で大きなミスを犯し、それが傷になっている。独身、腹が突き出て、ニコチンとアルコール依存者である。これがヤク中で死亡したと言われているホフマンと重なる。
弁護士役アナベル、バッハマンの部下イルナ、アメリカが派遣したCIA局員のマーサ、いずれも見た顔だと思っていたが、それぞれ「シャーロック・ホームズ」、「東ベルリンから来た女」、「声をかくす女」のヒロインであった。いずれも非常に魅力的な女優なり。ヒロイン級を易々と脇に(といっても、アナベルはヒロインに近いが)使うあたり、女優陣の厚みを感じる。
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「ブ」で、単に、あまり見ない講談社文芸文庫というだけで、108円棚から拾ったメルヴィル『白鯨』(下)を、電車のなかで読み出すが、たちまち惹き込まれる。なんという明晰で緻密な散文か。海と鯨の描写の克明さに惚れ惚れする。しかし、この調子で上下1200ページを読み通すのはかなりキツいとも思う。「青春18」で、たとえばだが、京都まで行くとして車中のお伴にいいかもしれない。千石英世の訳は、古風ないい回しをわざと練り込み、厳粛な神話性を高めている。
かつて、各社から出た世界文学全集に、いろんな訳で収められている長編だから、読むだけなら、均一をたんねんにチェックしていれば、安く入手できるはず。講談社文芸文庫版は品切らしく、各巻1900円+税で、この「上」を見つけるのはなかなか難しいかもしれない。アマゾンで、送料含め1000円強ぐらい。
『白鯨』が出版されたのは1851年。2年後に浦賀へペリーの黒船艦隊が来航し、腰に刀をさげ、ちょんまげを結っていた日本武士を脅かす。