ヨムヨムの日々。
雑誌、新聞に自分の原稿が掲載されたのを貼付けたスクラップ帳が26冊目に入った。単行本以外に、よくこれだけ仕事をしてきたものだと思うとともに、これだけかとも思う。
野呂邦暢用のルーズリーフ・ノートを作る。11月、長崎の図書館で野呂について講演することが決っていて、その準備。あちこち、ノートに書き散らしたメモなどをまとめるつもり。
暖かい昨日は、いちにちかけて、『海を照らす光』を読む。カバーの灯台に、まず陶然となる。絶海の孤島に立つ灯台で、灯台守をする男と妻の話。三度流産し、もう子供を持つ望みが絶たれた夫妻だったが、海から流れ着いたボートに男の死体と生まれてまもない赤ちゃんがいた。二人は自分の子として育てる。この幸せがしかし、出口なしの悲劇を巻き起こす。ページをめくりながら胸が痛む。読みごたえじゅうぶんの傑作。映画化決定の由。
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書評依頼を受けた『谷崎潤一郎の恋文』中央公論新社を読み始める。谷崎の全集も新しく刊行が始まる。
次回「エン・タクシー」連載、「ここが私の東京」を石田波郷と決めて、少しずつ資料を集めているが、まだ手つかずだ。俳人について書くのはほとんど初めてで、いくつかポイントを絞って書かないと、しどろもどろになるだろう。