午後、なんとか「en-taxi」連載「ここが私の東京 続・上京する文學」第五回「友部正人」を送る。400字で25枚くらいか。足したり消したりであたふたする。これぐらいの枚数あれば、何でも書けないといけないが、書いているうちふくらんで、結局足りないような気になってくる。難しいものだ。
CSの「TBSチャンネル」がまったくあなどれず、昨夜、今日と、山田太一脚本「それぞれの秋」の最後の方を見る。「悪魔のようなあいつ」も再放送中のようで、しかし、これらをすべてチェックしていたら、それだけで一生が終わってしまう。「それぞれの秋」は、これまでにも書いているが、ぼくの生涯で、もっとも集中して、全身全霊を傾けて見たドラマ。一分一秒に釘付けになっていた。ドラマでは脳腫瘍の父親は手術で助かる。ぼくは父親を喪ったその年に見たのだった。へなちょこの小倉一郎に自分を重ねていた。社会に出ても、どう考えても出世出来ないと、友人の唐木(火野正平)と自分のことを思うシーンがあるが、ぼくもまったく自分のことをそう思っていた。自分のような気弱でダメ人間が、社会でうまくやっていける自信がまったくなかったのである。それだけに稔役の小倉一郎の一挙手一投足を見つめていた。フリーライターになってから、ぼくは小倉一郎の取材をしている。「それぞれの秋」のことはもちろん話した。「そうですか」と小倉さんは、照れ臭そうに笑っていた。
EXテレビが懐かしい。島田紳助も懐かしい。