芹澤光治良の本を買った覚えが、ほとんどないのだが、盛林堂へ補充したついでに均一をがさごそやっていたら、昭和27年中央公論社刊の、『ヨーロッパの表情』という渡欧の記録が目について、なかを開けたら、表紙にこれはどういう手法か、表紙版画がはっきりと裏映りしている。装幀は岡鹿之助。三方折り込みの簡易フランス装。こういうケースは初めて。で、買った。買う理由などいくらでもある、といつも言っているが、その一例となる。写真はその表紙裏のほう。
明日は午前と午後、神保町でトークダブルヘッダー。せっかくの古本まつりも、今日はさんざんだったろう。明日はどうにか天気が持ちそうな気配で、盛り返してもらいたい。
大判化された「面白半分」1980・7で、武田百合子が「自動車」について見開きで語っている。車はないのに免許を取った。その経緯がおもしろい。のち、車を購入。当時、作家仲間で車を運転するのは吉行淳之介ぐらい。ああ、これを早く読んでいれば、「人生散歩術」の木山捷平4に生かせたのに。この号、サルトルについてのアンケートが掲載されているが、田中小実昌が55歳。阿川弘之が59歳。川上宗薫が56歳。みんな、今のぼくの歳ぐらいで、なんか変な気分だな。
小山力也『古本屋ツアー・イン・神保町』本の雑誌社、が届きました。ありがとう。神保町の古本屋をほぼ全店踏破し、レポートしているが、店主に取材などせず、見たまま、感じたままを、これ150店以上あるのか、描写するという離れ業をやってのけている。奇書と言っていいだろう。同じことをやれ、と言われても、ぼくにはできません。いや、ほんと。