6日は長い一日。昼、西部会館均一祭へ。200円。三冊拾う。フリーライター時代のぼくの仕事、「自由時間」でAV女優を取材した一ページものを発見。オヨヨさんに「これ、単行本未収録の文章やから、高くつけて」と託す。目の前で女性がするりと裸になる、という現状のライター仕事を、あと少なくとも二回やっている。阿佐ヶ谷へ移動。夏葉社まつり「古本市」が開催されている路地の一軒家へ。ベンチに山本善行が座っている。ジャズのかかっている喫茶店でしばらく喋る。山本、事情があってつい先日マンションに引っ越したという。それでブログが途絶えていたのだ。古本市に戻ると、ピース又吉さんがお忍びでやってきていた。文庫の帯を書いてくれたので挨拶。普通に古本を買っていた。善行堂のコーナーもよく売れている。ぼくは、音羽館棚からドアノーが子どもを撮った写真集を。やや難ありで1000円と安い。来てくれていたお客さんから頼まれ、何冊か自著にサインを入れる。夏葉社ブースで用意した『親子の時間』も売り切れていた。
夜のライブまでまだ時間があるので、そういう予定を組んでこの日は動いていたのだが、ラピュタで松竹映画「惚れた強み」を見る。補助席まで出る盛況。有島一郎大辻司郎、佐藤友美、藤田まことなど。地方町長選挙と現町長の愛人騒動を巡る喜劇。おもしろいところもあるが、おもしろくないところもある。まあ、こんなものか。佐藤友美はトクをした出演。
次は荻窪と中央線をひと駅ずつ移動。ライブ会場へ向う途中、クラブ活動の帰り、みたいな「ボエーズ」一行と遭遇。食べて飲めるところを探して放浪。ギョーザと生ビールで下地をつける。夏葉社ライブは、結論から言うと、非常にいい会だったと思う。個性的なバンド、ソロが次々登場し、まったく飽きなかった。ただ、古本バンドは、ぼくのギターのチューニングがうまくいかなかったこと、善行にサプライズで一曲、持ち歌の「慕情」を歌わせたが、本人曰く「めちゃくちゃやった」と。そんなことはないと思うが、カラオケでくり返し歌っても、生のバンドで歌うのとはまったく別、ということがぼくにはわからなかったのだ。友だちのために弁明するが、善行はめちゃくちゃ歌が巧いです。この夜初披露のオリジナル曲「夏葉社のうた」も好評でほっとする。
この日出た7組のうち、世田谷ピンポンズに深い感銘を受ける。70年代フォークをホウフツさせる、生ギター(ヤマハじゃないか)とオリジナル曲、高く伸び上がる高音の声など、その世界観と表現は、初めて聞く人も含め、会場を圧倒したと思う。
とにかく、夏葉社・島田くんが、みんなにいかに愛されているかを実感した一日だった。出版社の社主というより、新しいクリエイターという趣きであった。
それから、9月の「みちくさ市」、参加表明が遅れ、抽選からもれたのが、補欠繰り上げで参戦できることになった。いろいろ、お話ししたいこともあるので、ぜひお越しください。ああ、疲れた。

書誌紅屋さんからの要請で、「夏葉社のうた」歌詞を掲げておきます。

「夏葉社のうた」(作詞・作曲/岡崎武志
1 夏の葉が大きく繁れるように その若者が作った本たちが
  強くことばの葉を拡げ 旅人に木陰を作る
  心が幾度も折れかけた サヨナラも言わずに去った人たち
  ぼくの声がいま届くならば 本のページをめくってほしい

  これでいいのか このままでいいのか
  本の力が弱まる時代に
  ならばぼくは今日も木を植える
  あの人の思いが伝わるようにと


2 レンブラントの帽子が風に転がる さよならのあとで昔日の客が
  星を撒いた街を歩いて行く 早く家に帰りたいと

  これでいいのか このままでいいのか
  ならばぼくは明日も本の木を植える
  これでいいのか このままでいいのか
  本の力が弱まる時代に
  これでいいのか このままでいいのか
  レンブラントの帽子が風に転がる
  これでいいのか このままでいいのか
  旅人が木陰で憩えるように
  これでいいのか このままでいいのか
  親子の時間が失われていく

  夏の葉が大きく繁れるように その若者が作った本たちが
  強くことばの葉を拡げ 旅人に木陰を作る